二宮寿朗「魅力あるJリーグへ、キーワードはAPT」

危機意識から採択したプロジェクト

 サッカーファンなら「アクチュアルプレーイングタイム」(APT)という言葉をご存知だろう。読んで字のごとく、実際にプレーした時間を指す。Jリーグのホームページには「アウトオブプレーやファウル等で試合が止まったり、セットプレーやスローイン等で試合が再開するまでの時間を差し引いて算出される」とある。

 J1で言えば大体APTが長いチームで60分強、短いチームで50分強と言ったところか。平均値は2010年が54分43秒、11年が54分39秒、12年が55分37秒。昨年は一昨年と比較すると1分近く伸びているが、これはJリーグの「+Quality(プラスクオリティー)プロジェクト」と無関係ではない。

 J1は09年から3年連続で入場者数が減少していた。危機意識を持ったJリーグは来場しなくなった人(10年には来て、11年に来なかった人)を対象にインターネットでアンケートを行った。その結果、「試合が面白くなくなった」という理由が一番だったことを受けて「+Qualityプロジェクト」を2012年から実施。各クラブに対して審判への異議や遅延行為などプレー時間を削る行為を減らし、「フェア」「クリーン」「スピーディー」「タフ」の4つをキーワードに、魅力ある試合に取り組むよう要請した。加えて異議、遅延の罰則を強化し、プロジェクトの一環としてAPTも公開されるようになった。

 今年のJリーグ開幕戦におけるAPTも公表され、J1で一番長かったのはジュビロ磐田対名古屋グランパス戦の62分49秒、一番短かったのは横浜F・マリノス対湘南ベルマーレ戦の53分05秒だった。全体の平均は56分36秒で、これは2009年のJ1全試合平均値(56分08秒)よりも長い。開幕戦1試合に限られたデータとはいえ、プロジェクトの効果は出ているように感じている。