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東大病院救急部長が語る「死後の世界」〜人間は必ず死ぬ。しかし…

数多の最期を見てきた医師の結論
週刊現代 プロフィール

死後の世界として、古来から天国や地獄などの概念がありますが、私が考えるところ、「あの世」は決して悪いところではなさそうです。

なぜなら、臨死体験をして死後の世界を垣間見てきた人は、その後死を恐れなくなるようなのです。臨死状態に陥った人は、その間、安らぎや解放感を覚えたり、強烈な光を感じたりするようですが、いずれも不快な現象ではありません。そのため、「死は、ただただ恐ろしいものではないのかも」という安心感が芽生えるのです。

しかも、「あの世」に行った霊魂は「現世」と完全に断絶してしまうわけでもありません。

これは私事になりますが、私はかつて亡くなった母の霊と会話する貴重な体験をしています。私の母は'07年、独居先のアパートで亡くなったのですが、その2年後、強い霊能力を持つ知人女性のBさんから「お母様があなたと話したがっている」という連絡をもらい、迷った末にBさんを霊媒として、母と交信を試みたのです。

結果からいうと、母との交信は圧倒的な体験でした。様々な会話を交わしながら、私は確かに目の前に母がいるのだと感じざるを得ませんでした。以来、私はあの世は決して遠い場所ではないのだと感じるようになりました。

魂は永遠に生き続ける

では「現世」と「死後の世界」はどのような関係にあるのでしょうか。

 

私なりの考えでいうと、我々の生きている世界はいわば競技場のようなものです。私たちはこの競技場の中で、人生という苦しい競技に参加し、お互い競い合っているわけです。

その中で、「あの世」はいわば競技場の観客席です。観客席と競技場の間にはマジックミラーがあって、こちらから向こうは見えないが、向こうから私たちの様子を見ることはできる。やがて競技が終わると、つまり肉体的に死ぬと、私たちは霊魂となって観客席へと移るのです。そして、もう少し競技をしたいと思う人は、競技場の中に戻るように、再びこの世に生まれ変わることができるのだと考えています。

間もなく、東日本大震災から2年が経ちます。私は、日本人の死生観は3・11を境に大きく変わったと感じています。災害が起こる前まで、私たちは「人は必ず死ぬ」という真理を忘れていました。

しかし、3・11以降、多くの日本人が、それまで縁遠かった「死」を、明日にでも自分を襲うかもしれない身近なものとして意識するようになりました。しかし、死を身近に感じることは、とりもなおさず生を身近に感じることでもあります。だからこそ、私は日本人は肉体だけでなく、魂についてもう一度思いを馳せてほしいと思うのです。

「人は必ず死ぬ」という死生観は、言い換えるなら、人は一回きりの人生しか生きられないということです。でも、それではあまりに自分の人生は理不尽だと思う人はたくさんいるのではないでしょうか。