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東大病院救急部長が語る「死後の世界」〜人間は必ず死ぬ。しかし…

数多の最期を見てきた医師の結論
週刊現代 プロフィール

死の間際、人は何を見るのか

このような臨死体験については、「単なる脳内現象に過ぎない」と否定する向きもあるようですが、実は臨死体験の中には「臨死共有体験」というものが幾つも報告されています。

ある方が亡くなりかけていて、ご家族が臨終を看取ろうと周りに集まっている。その時、患者が見ている「あの世からのお迎えの光景」を家族の人たちも同時に見てしまうというものです。これは、西洋では既に認知されている現象です。科学的検証こそできていませんが、患者本人ではない第三者までもが同じ体験をするのですから、「脳内現象」というよりは、意識(霊魂)の同調を起こしていると考えるのが自然です。

人間には霊魂がある、と言うと理解できない人がいることは百も承知です。しかし、これは過去に多くの患者を看取ってきた私の偽らざる実感なのです。

また、霊感が強い人は、死ぬ直前の人間の体から何かが抜け出していく、言い換えれば「見えない体」が肉体から出ていくのが分かるといいます。患者の臨終に何度も立ち会った私も、それは分かるような気がします。

言葉ではなかなか説明しにくいのですが、いわば肉体から何かが「外れかけている」感覚があるのです。早い方だと、亡くなる3日ぐらい前から少しずつ外れていき、遅い患者さんでも臨終の直前に外れるそうです。私はそれを、いわゆるあの世からの「お迎え」が来たのだと捉えています。

 

また、こうした「お迎え現象」の一つに、患者の顔の変化があります。死の数日前になると多くの末期患者の顔が、なぜかほころぶことがあります。2~3日前から亡くなる直前の間、患者は周囲のことにすっかり無関心になり、いよいよ最期の時を迎える瞬間、まるで別の世界にいるような感じで、顔がほころぶのです。

よく観察すると、その表情は「えっ」と何かに軽く驚いているようにも見受けられます。残念ながら患者の全員が亡くなってしまうので、彼らがなぜ顔をほころばせ、何に対して驚いたのかは確認できません。でも、私にはあの世から来た「お迎え」に患者たちが反応しているように思えてならないのです。

私の考えをバカバカしいと全否定する人もいるでしょう。しかし、現在、我々人間が解明できている「世界」はごく一部でしかありません。

この世界には我々の理解を超えた現象はいくらでもある。言ってみれば、人間は巨大なゾウの体の上を這い回っているアリに過ぎません。アリがいくらゾウの体を探検したり、研究をしたところで、結局、それはミクロな発見でしかありません。マクロなゾウの全体像は、アリの能力では決してつかみきれない。それと同じことなんです。

では、「死」によって肉体から解き放たれた霊魂はどこへ行くのでしょうか。私は、霊魂が向かう先は我々とは別の次元の意識世界、いわゆる「あの世」であると考えています。