「地方自治体が支払う高金利の受益者は国」という知られざる現実! 公共金融の民間資金への置き換えを訴える大庫直樹氏に訊いた

 地方自治体が高い金利の資金を借り、そのツケを地方の住民が知らないうちに負担している。そんな地方財政の"暗部"を掘り起こしている金融専門家がいる。マッキンゼーなどで銀行経営のコンサルティングを行ってきた大庫直樹氏だ。大阪府市統合本部の特別参与でもある。これまであまり議論されてこなかった地方財政における資金調達の重要性について訊いた。

聞き手: 磯山友幸(ジャーナリスト)

大庫直樹氏(『あしたのための銀行学』帯より) Photo by Masaya Tanaka

---このたび出版された『あしたのための銀行学』(ファーストプレス刊)の中で、公共金融の民営化が必要という主張をされています。よくある公共金融機関の民営化ではなく、自治体などが借りている資金を民間資金に置き換えるべきだというご主張ですね。

 ええ。私は2009年から大阪府の特別参与を務めてきましたが、大阪府で言えば8兆円の資金を外部から借りています。1つの企業体とみるととてつもなく大きい規模です。この借り入れ金利を0.1%引き下げることができるだけでも80億円の資金が浮く計算になります。地方財政が厳しい中で、それだけの資金が浮けば新しい事業に回すこともできます。

---地方自治体は一般より高い金利で借りているということでしょうか?

 地方自治体は地方債を発行して資金を調達するのですが、これには一般会計債と呼ばれるものと公営企業債と呼ばれるものがあります。ここでは、上下水道事業や運輸事業、病院などの資金に回される公営企業債を中心に考えたいと思います。公営企業債の平均金利は2010年度で3.2%ですが、民間の公益企業の平均的な金利水準は1.8%です。大きな開きがあるわけです。

 かつては国の信用をバックにした地方債は金利が低く、民間よりも有利な調達が可能でした。ところが地方債にも信用力による金利格差が生じるようになっています。本来、水道などきちんとした収益が見込める事業は信用度が高いため、一般的な地方債よりも金利が低くなる可能性があります。ギリシャ政府の財政危機でギリシャ国債の利回りが急騰しても、収益力の高い企業の社債金利はそれほど上昇しなかったのと同じ理屈があり得るわけです。

---ところが日本の公営企業は高い金利で借りている、と。それはなぜですか?

 最大の理由は20年、30年といった超長期の債券を発行して資金調達しているからです。同じ公益企業でも民間企業の場合、せいぜい10年、企業によっては5年債の発行を繰り返すことで資金をつないでいます。短い期間の金利の方が長期金利に比べて、一般的には低くなります。短い債券の発行に変えることで、金利負担を抑えることが可能なのです。