日本語学校の生徒たちに、日本のテレビの印象を聞いてみた(後編)
「カイ日本語スクール」で日本語を学んでいる6人。前列左からラムさん、フランチェスカさん、ヒロさん。後列同じく、クリスさん、ジョーさん、リンさん(筆者撮影)

【前編】はこちらをご覧ください。

 前回に引き続き、外国人たちが日本のテレビについてどう思っているかを聞く。「カイ日本語スクール」(東京都新宿区)の生徒6人だ。これから日本の大学院に進むか、あるいは日本企業に就職する人たちである。知的水準は高い。

 まず、全員に同じ質問をした。母国に帰った後、周囲から「日本のテレビは良いか、悪いか」と尋ねられたら、どう答えるか?

 台湾から来日中のヒロさん(33)は、あたかも当然のように「良い、ですよ。質が高い」と答えた。そして、好きな番組として、『ほこ×たて』(フジテレビ)を挙げた。

 『ほこ×たて』は高級電気釜と直火炊きのご飯などが対決する社会派バラエティーだ。昨年の民放連賞で、テレビエンターテインメント部門の最優秀賞を得た。無論、そんなことはヒロさんに関係ない。お国は違えど、評価される番組は同じなのかも知れない。

 親日で知られる台湾のみならず、ヨーロッパから来日中の5人も含め、全員が「日本のテレビは良い」と答えた。母国に帰国後は、「日本のテレビは良かった」と言うそうだ。

 その理由について、それぞれが「明るいから」「工夫されている」「内容がよく考えられていて、勉強になる」と付け加えた

外国人に日本のお笑い番組が受けている

 テレビはときに批判にさらされる。筆者も本コラムで問題点と思うことを指摘することがある。雑誌のテレビ評に至っては批判一辺倒の感すらあるし、ネットを中心に活躍するジャーナリストの一部には「テレビを信用するな、見るな」と訴える向きもある。テレビ局の内側からテレビ批判する人もいる。

 だが、台湾から来日した前出のヒロさんは逆に、「日本人はテレビ好き」と指摘し、これに全員がうなずいた。

 実際、全年齢層を合わせると、日本人は1日に平均約1時間40分もテレビを見ている。テレビ好きのお国柄だからこそ、愛憎が半ばして、批判の声も強くなるのかも知れない。

 また、日本人は自国のテレビを過小評価しているのかも知れない。昭和の時代の一時期、「安かろう、悪かろう」と失笑されたメイド・イン・ジャパン製品だが、勤勉実直な国民性の日本人らしく、改良に改良が重ねられ、その品質は瞬く間に世界最高水準になった。日本のテレビ番組も過去や現在に悪しき点はあるが、改善が繰り返され、やはり胸を張れる内容になっているのではないか?

 オランダから来日し、『ZIP』(日本テレビ)をよく見ているラムさん(27)は、「お笑い番組もいいですよね」と言った。

 「たとえば、ドッキリみたいな番組もうまく出来ていて、爆笑していますよ。ダウンタウンの番組にも大笑いしています」(同)

 笑いのツボは時代と社会背景、生育環境などによって異なるはずだが、お笑い番組は日本語習熟度が十分ではないオランダ人青年も笑わせていた。

 「そもそもオランダにはお笑い番組があまりない。アメリカのドラマや主婦向けのようなトークショーとかが多いかな」(ラムさん)

 イタリア人のフランチェスカさん(35)も日本のお笑い番組を楽しむ。

 「イタリアにも漫才の番組があるんですが、ネタが全然違います。政治についての話ばかり。バチカンのネタも多いですね」(同)

 フランチェスカさんは自国のお笑い番組をこう分析する。

 「イタリアはずっとチェンジ(改革)出来ないでいる国。だから政治に皮肉を言い、せめて笑ってしまおうということなんですよ」

 財政危機などに長く苦しむイタリアらしい。その点、日本のお笑い番組はひたすら脳天気。日常を忘れさせてくれるから、一服の清涼剤としては健全ですぐれているのかも知れない。

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