24歳でスタンフォードの博士号を取得した天才が裸一貫から世界最高の会社を作るまで

2013年03月12日(火) 田村 耕太郎

 2年前、チュニジアから始まった「アラブの春」が中東諸国の政府転覆につながるとさかんに言われたときも、イアンは「エジプトの反政府運動が盛り上がった後も、中東諸国の政権は簡単に転覆しない」と断言した。「イスラエルがイランを爆撃する」という予測が有力視されたときは、「イスラエルにそこまで踏み切る意図はない」といち早く否定した。すべて当たっている。

 私が「ユーラシア・グループの成功の理由は何だと思う?」と聞いたところ、彼が挙げたのは次の3点だった・

(1)自分より優秀だと思われる人間を採用する
(2)部下には、とにかく自分に対して反論をさせる
(3)社長室などは作らず、同じ部屋に同じ大きさの机を並べ、自分もその一つを使う

 これらの理由につき、イアンはこう説明する。

「顧客が欲しがるのは『良い分析』だけ。それを出すには、優秀な人材が臆せずものを言える環境を社内に作るしかないよ。また、そういう組織にしないと、できる人材も集まらないからね」

 イアンほどの能力があれば、名門大学の花形教授の道を歩むこともできたはずだ。しかし、象牙の塔で「エエ格好」をしていることより、実社会で自らの力を試すべく、リスクを取って裸一貫で挑戦したガッツが素晴らしい。

 アメリカとは社会構造が違うので一概に比較はできないが、才能あふれる日本の若い研究者たちも、天才イアンを見習って、広く世の中に打って出てみてはどうだろう? そこから世界レベルの面白い試みが生まれる可能性は、十分にあると思う。

 

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著者:田村耕太郎
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田村 耕太郎

(たむら・こうたろう) 前参議院議員。エール大学上席研究員、ハーバード大学研究員などを経て、世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を務めた。
国立シンガポール大学公共政策大学院名誉顧問、新日本海新聞社取締役東京支社長。
1963年生まれ。早稲田大学卒業、慶応義塾大学大学院修了(MBA取得)。デューク大学ロースクール修了(法学修士)、エール大学大学院修了(経済学修士)、オックスフォード大学上級管理者養成プログラム修了、ハーバード大学ケネディスクール危機管理プログラム修了、スタンフォード大学ビジネススクールEコマースプログラム修了、東京大学EMP修了。
2002年から10年まで参議院議員を務めた間、内閣府大臣政務官(経済財政、金融、再チャレンジ担当)、参議院国土交通委員長などを歴任。
シンガポールの国父リー・クアンユー氏との親交を始め、欧米やインドの政治家、富豪、グローバル企業経営者たちに幅広い人脈を持つ。世界の政治、金融、研究の第一線で戦い続けてきた数少ない日本人の一人。
2014年8月、シンガポールにアジアの地政学リスクを分析するシンクタンク「日本戦略情報機構(JII)」を設立。また、国立シンガポール大学(NUS)リー・クワンユー公共政策大学院の兼任教授に就任し、日本の政府関係者やビジネスリーダーに向けたアジア地政学研修を同校教授陣とともに実施する。
著書に『君に、世界との戦い方を教えよう 「グローバルの覇者をめざす教育」の最前線から』などがある。