企業・経営
24歳でスタンフォードの博士号を取得した天才が裸一貫から世界最高の会社を作るまで
ユーラシア・グループ代表のイアン・ブレマー氏〔PHOTO〕gettyimages

歯に衣着せず「国際機関など存在しない」とバッサリ

 7年来の畏友で、「天才政治学者」の呼び声が高いイアン・ブレマーの講演を聞きに行った。場所は東京・麹町にある「グロービス」東京校だ。

 イアンは今や、売れっ子の国際政治学者として注目されていると同時に、世界で最も信頼されている政治リスク分析会社「ユーラシア・グループ」を率いることでも有名だ。巨額の資金を動かすヘッジファンドから各国政府まで、彼のグローバルな政治リスク分析を求める顧客は後を絶たない。日本政府も、彼の話に真摯に耳を傾けている。

 彼の造語である「G0(ジー・ゼロ)」は、近年の国際政治の状況を巧みに表現した言葉として、世界中で広く引用、使用されている。G7やG20のように、国際秩序を決めるための舞台はあるけれども、そこで責任を持って世界秩序を決めようとする(決められる)国は、実は皆無だというのだ。

 アメリカはかつてのようなグローバルな影響力を失い、国内問題に政治が忙殺され、国際秩序の構築まで手が回らない。中国は、グローバルな影響力を持ち始めてはいるものの、重要なことを決めてその責任を取るのは嫌なので、対外的に「大国」と「途上国」の顔を使い分けている。財政破綻問題で尻に火がついた状態のヨーロッパも、世界秩序どころではない。

 では、台頭しつつあるいくつかの新興国はどうかというと、彼らの意図はバラバラだ。国内の政治・経済体制がまだ脆弱な国も少なくない――。イアンの分析をざっと要約すると、このようになる。

 彼の話は、歯に衣を着せるということがないので、非常に面白い。今回の講演でも、以下のような話が強く印象に残った。

「『国際機関』なんて、かつて世界のどこにも存在したためしがありません。人々が国際機関だと思っているもののほとんどは、実はアメリカが作ったアメリカの機関なんです。国連もIMFも世界銀行も全部同じ。『G7』だって、本当は『G1プラス』に過ぎません」

 彼の「G1プラス」という表現が秀逸で、思わず笑ってしまった。先進諸国が国際会議をやっているように見えて、実はアメリカ一国の意向にその他大勢の国々が振り回されているだけ、ということだ。イアンは続けて次のように述べた。

「世界経済フォーラム(ダボス会議)という国際会議があります。これは、グローバルな舞台だと思われていますが、実はそうではありません。特徴的な2つの国が顔を出していないからです。それは、中国とアメリカです。

 中国は、国際会議にノコノコ出てきて、そこでヨーロッパ人に民主主義や資本主義について説教されるのが嫌なんです。アメリカは、自分でルールを作るのが大好きなので、ヨーロッパ人が主催する舞台にわざわざ参加する気があまりない。今年の会議では、日本が大きな存在感を示しましたが、世界で最も影響力を持つ中国とアメリカのプレゼンスがない場所だということは覚えておいた方がいいでしょう」

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