日銀総裁人事
なぜ財務省OBの黒田氏ではダメなのか

「古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン」Vol.053 日本再生のためにより
【「古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン」vol053 目次】
―第1部― 日本再生のために
 ■1.日銀総裁人事 ―なぜ財務省OBの黒田氏ではダメなのか―
 ■2.公取委員長人事のもう一つの意味 ―再販制度とTPP―
 ■3.決める政治=野党がいない政治
 ■4.安倍側近の巧みな演出
 ■5.福島の被災地で見た数々の不条理
 ■6.改革のためのTPPが日米既得権擁護の談合へ
 ■7.来週月曜日は3・11
 ■8.来週一週間の報道ステーションは被災地からの中継
―第2部― 読者との対話
 ■皆さんからいただいた質問やご意見へのコメント

日銀総裁人事 ―なぜ財務省OBの黒田氏ではダメなのか―

先進国の中央銀行トップに求められる資質

岩田東彦氏 〔PHOTO〕gettyimages

 日銀総裁・副総裁人事が決まりそうだ。安倍政権は元財務省財務官の黒田東彦(はるひこ)アジア開発銀行総裁を日銀総裁に、副総裁候補には岩田規久男学習院大学教授と中曽宏日銀理事を国会に提示した。財務省OBである黒田氏を総裁にするのが良いのかどうかという議論がされているが、なぜ財務省の官僚OBでは総裁にふさわしくないのかについての議論はあまり深められていない。

 そもそも、国会での各候補からの所信聴取という形で候補者の適性を見るやり方がおかしい。「所信を聴く場」だから基本的に一方通行だ。質問の時間はあるが、あくまで形式的で通り一遍のものでしかない。時間もわずかなものだ。

 本来はまる一日かけて、突っ込んだ質疑を行うことによって、候補者の適性を見極めるというやり方を採用すべきだ。議論もしないで、官僚OBかどうかだけで反対・賛成というのでは国民には理解してもらえない。

 では、財務省OBの問題点とは何なのであろうか。最近の主要先進国の中央銀行のトップは、かなりレベルの高い学者がなっている。その理由の一つは、金融に関する学問が高度に発展して、各国は最新の金融理論を参考にしながら金融政策を進めている。そこで、例えば、日本の金融政策が円安誘導を目指した近隣窮乏化政策だ、などという政治的な議論が起きた時には、日銀総裁は、各国の中央銀行トップに対して、金融理論から見て、そうした批判が的外れであり、日本の政策は十分合理的なものであるということを理詰めで説明し相手方の納得を得るという役割を果たさなければならない。

 黒田氏は、いわゆる金融マフィアで、国際会議の裏で政治的な駆け引き、根回しをすることが得意だということになっているが、では、ノーベル賞級の学者と丁々発止の議論ができるかというととてもそんなことは出来ないだろう。相手が言ったことに対して、後ろの事務方に助けを求めることなく、「その点は○○年の××教授の論文で証明されてますよね」などという会話が出来るかどうかである。

 裏の根回し役はもちろん必要だが、それができても、理論的に世界の中央銀行総裁に太刀打ちできないのでは話にならない。ましてや、組織の運営能力が高いかどうかは、そういうことに比べれば、ずっとプライオリティは低いはずだ。

日銀エコノミストを説得できる力量があるのか

 さらに、なぜ各国の中央銀行トップに学者が就くようになったかというと、それは、金融政策が政治や行政の介入によって歪められていないということを国内外にアピールするという目的もある。その意味では、財務省OBは最も不適切だということになる。しかも黒田氏のニックネームは「円高ファイター」だから、為替政策のために金融政策を悪用しているという批判を最も呼びやすいと言えるし、国債の買い入れをどんどん増やしていって、財務省の影響を受けて財政政策を肩代わりしているのではないかという疑念を生じさせる恐れも極めて高い。

決める政治=野党がいない政治

バラマキ予算に賛成した維新には呆れた

 最近の国会を見ていると、ほとんど自民党のやりたい放題という感じになってきている。一番驚いたのは、日本維新の会が補正予算に賛成したことだ。あれだけの無駄予算のバラマキによくもまあ賛成したものだと呆れてしまう。しかも、どこかの記者会見でそんなに無駄はないかのようなことを言っていた代表がいたが、開いた口がふさがらない。

 麻生太郎財務大臣自らが、時間がなかったから査定が甘くなったと認めた予算だ。官僚自らもどうでも良い予算でも仕方なく積み上げたと告白した予算だ。額ありきではないといっていた自民党だが、麻生財務相は、補修点検などでは額が積み上がらないから新規の建設予算をつけたと本音を漏らしてしまった。それでも維新の会は賛成した。

早くも参院選後の猟官運動か

 維新の会が、民主党にはことさら冷たく、自民党に甘いのは、世論が安倍政権になびいているという現実に反応しているからだろう。支持率の高い安倍政権にたてついてもあまり世論の支持を得られない。だから、なるべく自民党には擦り寄った方が得だという判断だ。・・・・・・