世界一わかりやすいスティグリッツの経済学
第9回 「世の中を読み解く万能ツール ~価格の役割とは?」

第8回はこちらをご覧ください。

 「価格とは何か?」

 いきなりこんなことを聞かれたら、どう答えるでしょうか?

---価格は商品の値段、としか言えない

 確かにそれも「価格」についての説明ですが、もう少し踏み込んで考えてみます。今日のkeywordは「価格の役割」、「需要量」、「個別需要曲線」です。

 説明に入る前に、みなさんに質問です。人間が生きていく上で、「ダイヤモンド」と「水」はどちらが重要でしょうか?

 もちろん「水」ですね。水がなければ人間は数日で死んでしまうこともあります。水は人間にとって非常に有益なものなんですね。一方、ダイヤモンドがなくても、日々の生活にはほとんど支障がありません。もちろん、無いよりある方がいいかもしれませんが、ほとんどみなさんの生活の役には立っていません。

 次の質問です。「ダイヤモンド」と「水」はどちらが高いでしょう?

 これは普通は「ダイヤモンド」です。同じ量を比べたら何億倍もダイヤモンドの方が高い。では、なぜ非常に役に立つ「水」より、あまり役に立たない「ダイヤモンド」の方が高いのでしょうか?

 この質問に答えるには、「価格とは何か?」を知らなければいけません。ヒントは「需要と供給の関係」です。では、その「価格とは何か?」について説明していきましょう。

価格は、商品の「希少性」を表している

 みなさんは、夕食後のデザートがほしくなり、果物を買いに行きました。今日はリンゴと桃の気分なので、両方同じくらい買うつもりで出かけました。ところが、お店に行くと、リンゴが例年の倍の値段で売られています。

 店員さんに理由を聞くと「今年は台風の影響でリンゴがあまりとれなかったから」とのことです。大きさも味も変わらないのに、少ししか収穫できなかったので、値段が倍になっているということです。「モノが少ないから(稀少だから)、価格が上がった」というわけですね。

 反対に、もし桃の値段が下がっていたとすると、みなさんは店員さんに聞く前に「もしかしたら、桃はリンゴの反対で豊作だったのでは?」と予想ができます。

---つまり、「モノが少ない」「モノが多い」というということが、値段を通じて伝えられている、ということか

 その通りです。価格は、その商品の「希少性」を表しているのです。

 だから値段が上がれば「少ししか収穫(生産)できなかったのかな」、値段が下がれば「今年はたくさん収穫できたんだね」と分かります。もちろん、商品の価格が変わる理由はこれだけではありません。でも「どれくらい商品がとれたか(生産できたか)」は商品の値段が大きく影響するんです。

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