肥土伊知郎 第1回 「祖父の羽生蒸留所と孫の秩父蒸留所をつないだモルトウィスキーの物語」

撮影:立木義浩

 <店主前曰>

 拝啓 坂村健教授

 教授はこの連載を読んでいらっしゃるでしょうか。

 先日この対談で、教授はいまどき漢籍やラテン語を学生に勉強させるのはナンセンスだとおっしゃっていましたが、セオ編集長の話によれば、今回のバチカン法王ヴェネディクト16世の突然の交代劇をスクープしたのは、新聞社の女性記者だったそうです。

 通常、メディア相手の会見では法王は英語で話されるそうですが、会見が終わったとき、法王はバチカンの神父たちに向かって「おれはもう疲れた。やめるぞ」とラテン語で私語を漏らされたそうです。バチカンの聖職者同士はいまでも日常会話はラテン語なのです。

 それを地獄耳を持った、しかもラテン語を解する女性記者が聞き漏らさなかったことが、この大スクープにつながったそうです。

 人生においては、効率ばかり求めていてはこういう大きな仕事は出来ないものだ、とわたしは思ったのでございます。坂村教授はこの事件をどう思われているのか、今度、お会いしたとき教えてください。

                                 敬具