迅速で正確な安否確認が災害時の事業復旧を左右する

カギをにぎる初動対応

 東日本大震災は企業の防災対策に大きな課題を投げかけた。たとえば、多くのメーカーなどが、ガソリンなどの燃料不足や部品の供給不足に直面したことは周知の通りである。

 そこでにわかに注目が高まったのが事業継続計画(Business Continuity Plan)、いわゆるBCPと呼ばれるものだ。BCPとは、企業が自然災害などの不測の事態で事業がストップした場合、いち早く事業を再開するための活動計画のこと。東日本大震災後、このBCPを策定し、さらにはBCPを経営戦略に取り込んだBCM(事業継続マネジメント)の導入に取り組んでいる企業も少なくないという。

「従来の防災対策は災害の予防や、災害が起きた際の初期消火や避難誘導、安否確認、救護活動などでした。しかし大きな災害が起きた場合は、その後の事業の継続が困難になることも十分考えられます。BCPは、従来の防災対策も含めて、その後の業務復旧・継続をするための活動計画なのです」

「多くの人がBCPを難しく考えすぎているように思います。プロに頼まなくても自分たちで意識をもって、自発的にBCPをつくっていただきたいですね」と昆氏。

 そう話すのはBCP・BCM策定支援アドバイザーの昆正和氏である。

「BCPの活動は、初動対応、仮復旧、本格復旧の大きく3段階に分けられます。安否確認や対策本部の設置といった初動対応は、失敗すると次のステップに進めないという意味からも重要です」(以下、昆氏)

 なかでも安否確認は、BCPを有効に機能させるうえで、初期においてもっとも基本的かつ重要な行動戦略だと昆氏はいう。

「もし安否確認が行われなかったとしたらどうなるでしょう。社員の命を守るという意味で会社の管理責任を問われることはいうまでもありません。また、外出先などで大災害に見舞われた社員は、会社から見放されたという疎外感を感じてしまいます。また会社に戻るべきか、自宅に帰るべきか、次のアクションの判断ができなくなるでしょう。災害対策本部の立ち上げはもちろん、社員が集まらずに復旧が進まないということも考えられます。その結果、事業を再開できなければ、顧客に対して業務の履行義務を果たせなくなってしまうのです」

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