TPPはマイナス面ばかりではない! 今後10年で2倍に成長する世界の食市場を狙える「攻めの農業政策」が必要だ!
施政方針演説を行なう安倍首相 〔PHOTO〕gettyimages

 安倍晋三首相が、先週中に宣言するとみられていた「TPP交渉への正式参加表明」が今週以降にずれ込んだ。官邸が、自民党内や農業団体の根強い反対に配慮したためだという。7月に迫った参議院議員選挙を睨んで、国論を二分する討論を避けたいという、あの政権運営姿勢がまた顔を出したようだ。

 こうした状況が長引けば、首相訪米の際に、日本側への配慮から共同声明のとりまとめに合意したオバマ大統領の政治的立場にもマイナスの影響を与えかねない。

 そこで、今こそ、反対派に知ってもらいたい推計がある。外資系のコンサルティング会社がまとめたもので、今後10年弱の間に、日本の食市場は16%しか成長が見込めないのに対し、世界のそれは2倍に急拡大するというのだ。自由貿易の推進は、農業団体にとってマイナス面ばかりとは限らないのである。

攻めの農林水産業

 大切なのは、リーマンショック後、停滞していた世界貿易を力強い回復・拡大軌道に押し戻すことにある。近視眼的な貿易収支の改善に捉われて、関税引き上げ競争を展開し、国際的な孤立を深めた戦前の失敗を繰り返す愚を犯してはならない。

 今、永田町・霞が関に出回り、ひそかな注目を集めているレポートがある。作成者は不明だが、そこには、2009年からの11年間で、日本の食市場が58兆円から67兆円にしか成長していないのに対して、世界のそれは340兆円から680兆円と2倍に急拡大するとの外資系コンサルティング会社の推計が書き込まれている。

 作成者が伏せられているのは、その推計自体がTPP推進派の経済産業官僚の依頼で行われたものだからではないかとの見方があるようだが、真相は闇の中である。

 林芳正農水大臣は、この推計の存在を早くから知っていたようだ。というのは、2月18日の産業競争力会議の議事録をみると、同大臣は「世界の食市場の規模は、平成32年に大体680兆円くらいになると見込まれている」と強調したうえで、これを商機と捉えて、農産品の輸出拡大を確実なものとするために「『攻めの農林水産業』の展開」という資料を提出しているからだ。

 その資料によると、これまで、農林・水産あわせて4,500億円前後にとどまっていた輸出を、世界市場の成長を上回るテンポで拡大し、1兆円に膨らませるという。そのためには、「Made in Japan」の農林水産物・食品だけを輸出する戦略では不十分であり、「Made by Japan」として食文化や食産業ごと輸出して、その中において農林水産物・食品を輸出する努力が欠かせないと指摘している。

 単純に言えば、寿司屋を海外に増やせば、日本産の鮮魚の輸出も伸びるはずだというのである。実際に、最近は、東南アジアに進出している外食チェーンが、焼き魚定食の魚だけはコストを度外視して日本から輸入するようなケースも散見される。

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