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スクープレポート
北朝鮮金体制を転覆せよ
アメリカはCIAを送り込んだ

 オバマ大統領と安倍首相が、首脳会談で多くの時間を割いて話し合った北朝鮮問題。だがオバマ大統領が安倍首相に話していないことがあった。それは、CIAが極秘で進めている金正恩の除去—。

長官はすでに覚悟を決めた

 2月22日、米ホワイトハウス。2期目のオバマ政権が発足して初の海外からの賓客として迎えられた安倍晋三首相は、ランチを挟んで、オバマ大統領との日米首脳会談に臨んだ。

 2月12日に3度目の核実験を強行した北朝鮮に対する対応が、この日の日米首脳会談の主要議題だった。安倍首相は、オバマ大統領が提起した新たな国連安保理による対北朝鮮制裁案に、しっかりと肯いた。そこには、北朝鮮籍船に対する臨検や、北朝鮮系企業との銀行取引の停止といった本格的な制裁内容が羅列されていた。

「日本としては、あくまでもアメリカと足並みを揃えながら、北朝鮮に対して強いメッセージを送っていきたいと考えております」

 安倍首相はそう言って、オバマ大統領に恭順の意を示したのだった。

 だがこの日、オバマ大統領が北朝鮮への対応に関して、安倍首相に相談していない重要事項が、一つあった。

 ワシントン政治を30年以上にわたって研究している国際ジャーナリストの堀田佳男氏が語る。

「それはCIA(米中央情報局)による金正恩第一書記の暗殺です。北朝鮮は昨年末の長距離弾道ミサイル実験と、この2月の核実験によって、すでにアメリカまで到達する核弾頭を保持している可能性がある。ということは、アメリカにとって喫緊のリスクとなったわけです。そのような独裁国家の指導者は、当然ながらCIAの暗殺の対象になります」

 堀田氏によれば、CIAが金正恩暗殺を狙うのは、CIA内部の事情とも関係しているという。

「昨年11月にペトレアス前長官がセックス・スキャンダルで失脚し、CIAに激震が走りました。この1月、オバマ大統領は後任に、〝暗殺王〟の異名を取るジョン・ブレナン前大統領補佐官を送り込んだのです。'11年にパキスタンでビンラディンを暗殺した時も、ブレナン補佐官が暗殺部隊の実質の統括者でした。

 ブレナン新長官のCIA内部での口癖は、『まず殺してから考えろ』。目的を達するためには手段を選ばない冷徹な諜報のプロです。そんなブレナン氏をCIA長官に指名したこと自体、オバマ大統領が金正恩暗殺を容認しているようなものです」

 堀田氏によれば、CIAは「北朝鮮はすでに約20発の核兵器を保有していて、核弾頭化の技術も急速に進んでいる」という報告を、オバマ大統領に上げているという。

 実際、オバマ大統領は、2月12日に行った一般教書演説で、「北朝鮮に対しては断固たる措置を取る」と明言している。加えて、パキスタン北西部のアルカイダ幹部を追っていたCIAの準軍事部門を、アフガニスタンの前線基地から撤退させ、「北朝鮮シフト」に移動させたとの情報も入ってきている。

 オバマ大統領は、安倍首相との首脳会談で話し合った対北朝鮮の経済制裁とは別に、「金正恩暗殺」というオプションを、真剣に検討し始めているのである。

 実は、CIAには北朝鮮のトップを狙った「前科」がある。'04年4月22日、中朝国境まで約15㎞という北朝鮮北部の竜川駅で列車が突如、大爆発を起こした事件である。

 当時、北朝鮮当局は「列車に積んであった硝酸アンモニウム肥料に電線が接触して起きた事故」と発表した。

 だが事故の翌月、平壌で本誌記者の取材に応じた北朝鮮幹部は、まったく異なった回答を行っている。それは次のようなものだった。

「4月19日から21日まで、将軍様(金正日総書記)が訪中し、胡錦濤主席らと首脳会談を行った。その中で、中国政府首脳から、次のように告げられたのだ。

『今回の訪中時に、あなた(金正日総書記)の暗殺が仕組まれていることが判明しました。これは中国の政府機関が確実な筋から得た情報です。そこで中国国内の警備を最大限強化し、鴨緑江(中朝国境の大河)までは、中国政府が責任を持ってお送りします』

 仰天した将軍様は、中国政府と協議して、密かに帰国時間を8時間早めた。もし当初の予定通り帰国していれば、将軍様を乗せた御用列車は、竜川駅で木っ端微塵になっていた。

 その後、現場を徹底調査し、中国の協力も仰いだ結果、携帯電話を使った強力な爆弾が持ち込まれたことが判明した。そして、これは米CIAの仕業であるという結論に至ったのだ」

 確かに当時、一般教書演説で、北朝鮮をイラク、イランと並んで「悪の枢軸」と名指しした米ブッシュ大統領は、金正日総書記が指示する多額の米ドルのマネー・ロンダリングに、頭を悩ませていた。当時、イラク戦争に勝利して意気揚々としていたブッシュ大統領が、CIAに「ゴーサイン」を出したとしても、まったく不思議ではない。

 それから9年を経た現在、金正日総書記はすでに死去しているが、三男の金正恩第一書記が、父親以上に過激な言動に出ている。アメリカまで届く長距離弾道ミサイル実験を成功させ、2月の核実験によって、核の小型化にも成功した模様だ。

 アメリカにとっては、完全に〝許容範囲〟を超えたのである。

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