オリンピック・レスリング除外にみる「政治的な駆け引き」、照準を的確に撃破する火器管制レーダーで戦争を仕掛けた中国 ほか

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.008 「くにまるジャパン」発言録より
【佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.008 目次】
―第1部― インテリジェンス・レポート
 ■分析メモ(No.18) 「「森喜朗元首相とプーチン露大統領の会談」」
 ■分析メモ(No.19)「ロシアにおける隕石落下爆発事故」
―第2部― 読書ノート
 ■「1956年ソ日共同宣言の真実の意味」『極東の諸問題』
 ■沢木耕太郎『キャパの十字架』
 ■小倉和夫『秘録・日韓1兆円資金』
―第3部― 質疑応答
―第4部― 文化放送「くにまるジャパン」発言録
―第5部― 佐藤優さんの今後の予定(3月上旬まで)

―第4部― 文化放送「くにまるジャパン」発言録

(前の番組のパーソナリティ吉田照美の話を受けて、BGMに『トロイカ』が流れる)

野村邦丸(以下邦丸): ロシアの切ない民話。父と息子がテーブルについていた。父が息子に言った。「息子よ、酔っ払うということは、どういうことかわかるか。ここにあるウォッカの2本のビンが3本、4本に見えたら、その時お前は酔っぱらっているんだ、なあ、息子」「父さん、ウォッカのビン、1本だけだよ」・・・・・・・・・


佐藤優(以下佐藤): ロシアでよく使われる典型的なジョークですね。

(中略)

佐藤: ところで今、『トロイカ』の曲が流れたでしょ。日本では明るい感じの曲だと思われているでしょ。これ、ロシアでは「ぼやき歌」なの。

伊藤: ぼやきなんですか。

邦丸: 『トロイカ』が?

佐藤: トロイカのムチを打ちながら、おじいさんが「タタール人のやつに息子を奴隷に盗られてなあ」と、ぶつぶつ、ぶつぶつ、ぶつぶつ、ずーっと言っているんで、テンポもうーんと遅い歌なんですよ。だからこれを歌っていると、ロシア人がみんな下を向いて暗くなってくるんです。

邦丸: そうなんですか。

佐藤: ぜんぜん日本とは印象が違う。

・・・(略)

コメンテーター・ジャパン

邦丸: 今日のニュースはこれです。


伊藤: 朝日新聞1面。「背水の陣レスリング アメリカとロシアが共闘、イランとも連携」

 オリンピックからのレスリング除外の衝撃が世界に広がっています。政治では角突き合わせがちなロシアとアメリカが共闘に動きます。また、アメリカは核問題でぶつかるイランとも手を携える構えです。オリンピック三連覇するなど「霊長類最強」の異名をとったロシアのアレキサンドル・カレリン氏は、地元メディアに「オリンピックの基盤を崩すレスリング排除が計画で終わることを望む」と語りました。

 ロシアオリンピック委員会のジューコフ委員長は、レスリングを排除しないようIOC(国際オリンピック委員会)に書面で正式に要請すると表明しました。アメリカのレスリング協会も過去のオリンピックメダリストを集め、IOCに働きかけることを決めました。リッチ・ベンダー会長は国際大会が開かれるテヘランを週明けに訪れ、同じように打ちのめされている国々と話し合うと言います。日本やロシアのほか、外交関係が途絶えているイラン、キューバとも連携をとりたいと述べました。

邦丸: 今日、一般紙一面などでかなり大きくこのニュースを取り上げております。米
ロが協調するのはわかるんですけれど、イランも仲間に入ろうじゃないかとい
うことになってくると、「イランもかいっ」って感じになってきますよね。

佐藤: 政治性が出てくるでしょうね。

それと、プーチンさんはレスリングも含めて格闘技を強化するというのが国策だという考えで、本人も柔道の専門家であるとともに、ロシアの伝統競技で柔道やレスリングを取り入れた「サンボ」というのがあるんですが、このサンボ協会の会長なんですよ。

邦丸: そうなんですか。

佐藤: ジューコフとかカレリンとか出てくるし、そして出ているのは『ロシア新聞』
なんですが、これは大統領令で作られている新聞で、官報なんです。ですから
ロシアは「国策としてレスリングを絶対に残す」と、こういう強い主張ですよ
ね。それでアメリカとイランをつないだり、キューバをつないだりということ
も併せてやってしまおうと、こういうことを考えているわけでしょ。

邦丸: 裏には十分、政治的な駆け引き、取り引きがあるんですね。

佐藤: これは政治そのものですよね。要するに、オリンピックもそこにおカネが下り
ますから。

 私の想像ですけれど、レスリングはグレコローマンスタイルでオリンピック発祥のときからあるんだから、マラソンとレスリングは絶対に除外されることはないということで、おそらくロビー活動をしていなかったと思うんですよ。そうすると、パイは一定で、ではレスリングはどのぐらいおカネになるのかということになると、オリンピック官僚たちがもっとカネになる種目をどんどん入れるようになってきた。つまり、商業主義の問題だと思います。

邦丸: 最終決定は9月ですから、まだ猶予期間ではあるものの、一度除外と言われた
種目が復活する可能性は低いと言われるなかで、アメリカとかロシアとか日本、そしてイラン、トルコのようなレスリングが盛んな国が、「ジョーダンじゃねえ」ってんで、これでもし、覆るようなことになったら、それはそれでどうなんだろう、という声も出てくるでしょうね。

佐藤: 私は覆ると思いますよ。

・・・(略)

深読みジャパン

邦丸: 今日取り上げるのは、中国海軍の軍艦による海上自衛隊護衛艦などに対する火
器管制レーダーの照射、これを佐藤さんがどう見るかということで伺いたいんですけど。

佐藤: ひと言でいうと、とんでもない話ですよ。戦争をしかけてんのかっていう話なんですね。火器管制用のレーダーっていうと、レーダーで何かを探していてピーッって当てていたのかな、それに対してこんなに怒る必要ないんじゃないかってイメージでとらえちゃうのは大きな間違いです。

 火器管制用レーダーというのは、例えば、邦丸さんがいて、火器管制用レーダーを邦丸さんに当てると、邦丸さんの形を覚えるんです。それから動き方を覚えるんです。それでミサイルのボタンを押すと、邦丸さんが消えるまで追いかけてくるんですよ。私が邦丸さんを守ろうとしてピコッと邦丸さんの前に立ちふさがっても、ミサイルは私をキュッと迂回して邦丸さんのところに行く。

伊藤: ええっ!

佐藤: そういうシステムなんです。だから火器管制用レーダーを当てるということは、お前をぶっ殺してやるってことなんですよ。人間と人間の関係で見るなら、目に見えるところにきて弾を込めたライフルの照準を絞り込んで、引き金に手をかけたってことなんです。国際基準でいっても、そういうことをされた場合は、すぐにやられてしまうから正当防衛で撃ち返していいんです。中国は戦争直前のことをしかけてきたということなんです。・・・・・・