企業・経営
日本経済は本当にデフレから脱却できるのか---『デフレの真犯人』著者、北野一氏(JPモルガン証券)に聞いた
北野一氏(JPモルガン証券株式調査部チーフエクイティーストラテジスト)

 安倍政権の経済政策「3本の矢」。1本目が大胆な金融緩和政策で2本目が公共投資拡大に象徴される積極的な財政政策。つまりここまでは為政者の”匙加減”で何とかなる。ところが、「成長戦略」は民間企業が主役であり、企業の自助努力なしでは成し得ない。グローバル資本主義の中で、景気を左右するのは、民間企業の動向であり、1、2本目の矢は、3本目の矢の威力を増すための補助材料に過ぎない。

 しかし、家電産業に象徴されるように、日本の名だたる大企業の経営は迷走し、しかも経営者の資質が劣化したことに伴うリストラが続き、自助努力で浮揚するための気概も人材も失われているように見える。海外の著名メディアも「もはやイノベーションを生み出さない日本企業の動向に興味はない」と言って、取材拠点の縮小に動いている。

 果てして、日本経済は再生し、デフレから脱却できるのか---。昨年11月、ずばりそのテーマを突く『デフレの真犯人』(講談社)を上梓した、JPモルガン証券株式調査部チーフエクイティーストラテジストの北野一氏に聞いた。

(インタビューは2013年1月17日付)

---第二次安倍政権での金融緩和政策による円安誘導、財政政策による公共事業への投資によって日本の景気が回復するといったイメージがありますが、その点についてはどう思いますか?

 政府や日銀が対応を改めるだけでよいなら、とっくに日本経済はデフレを抜け出して、景気も回復しているはずではないでしょうか。しかし、そうなっていないのは、経済で大きなウエートを占める「民間」に原因があるのではないかと考えています。

 資本主義では、民間部門が知恵とお金を出し合って経済を営むことを原則としています。それがうまく機能していないのだと思います。民間企業の経営力低下の影響が大きいです。企業の経営者は、経済の主役は自分たちであるとの矜持を持ってもいいはずです。政府や日銀は資本主義においては「脇役」と言えるのではないでしょうか。