賢者の知恵
2013年02月27日(水) 週刊現代

週現スペシャルこれぞ、究極の格差社会 使える理系使えない理系【PartI】「理系は就職に有利」で選んだ人間の悲劇——文系と違い、ごまかしがききません

週刊現代
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 文系にもデキる子とデキない子はいます。でも、理系のデキる子とデキない子の間には深くて暗い川があるのです。みんなに尊敬されるのに、なぜか日本を動かすトップではない。理系の謎を追いました。

PartI 「理系は就職に有利」で選んだ人間の悲劇
——文系と違い、ごまかしがききません

「うちは曾祖父の代からずっと医者なんだけど、僕だけ東大工学部卒なんですよ。

 子供の頃から医者になれ医者になれと言われて勉強してきたけど、どうも医学部に行くほど頭はよくない。で、別に理系だったら就職も困らないだろうと思って、とりあえず理科Ⅰ類に入った。主に理学部か工学部に進むコースです。まあ、一族のなかでは落ちこぼれですよ」

 そう言って笑うのは、長野県飯田市の雪深い集落に住む40代の男性。いまは南アルプスの麓の進学塾で講師をして生計を立てている。

「で、なんとなくロボットとか面白そうだなと思って、機械工学をやりました。いまは東大理系学生の8割が大学院に進むそうですが、当時でも同学年の半分くらいは院に行ったのかなあ。

 それで院にも行ったけど、研究者で食っていくのも大変そうだから、とりあえず就職しようと思って。教授の推薦枠で誰でも知っているような建設機械メーカーの研究所に入りました。初任給は月25万くらいかな。でも、その仕事がイヤで」

 研究所は、東京から遠く離れた北関東の工場地帯にポツリとあった。

「なんでこんな寂しいところで、好きでもない重機の研究なんかを延々やらなきゃいけないのかって、すぐイヤになった。

 先輩や同僚は、ちょっと可動域が広がったり、制御の精度が上がるだけで小躍りしているんだけど、誰に褒められるわけでもなし、僕はそんなことどうでもよかった。やる気も出ないので先輩に振られたテーマに何となく取り組んでいたけど成果も出ず、すぐ『あいつはどうしてあんなにやる気がないんだ』とバレてしまった。研究職は、ごまかしがきかないですね。

次ページ  職場にも居づらくなって、よう…
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