安倍首相がブレなければ日経平均1万6000円台もありえる!? アベノミクス"3本の矢"の方向性を占う3つの試金石
2月25日の日経平均株価 〔PHOTO〕gettyimages

 安倍晋三首相の掲げる経済政策、いわゆる「アベノミクス」が多くの国民の支持を得ている。「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「民間需要を喚起する成長戦略」の"3本の矢"を掲げたことで、さっそく成果が表れ始めた。1本目の矢の金融緩和姿勢によって大幅に円安が進み、株価が上昇したのだ。

 この円安株高によって消沈ムードが一変したのは事実だ。週末の繁華街は賑わい、外国人旅行客は増加傾向にある。今度こそ、日本経済が再成長路線に入るのではないか---そんな期待感が盛り上がっている。安倍首相への期待から、内閣支持率も上昇している。

 その一方で、「古い自民党」に戻ってしまうのではないか、という危惧を多くの国民が抱いているのも事実だ。安倍首相は繰り返し「古い自民党には戻らない」と発言しているが、それがどこまで信じられるか。

 2本目の矢である「機動的な財政出動」の方向性を間違えれば、不要な道路やダムを作り古い公共事業のバラマキに戻りかねない。一気に国民の期待がしぼんでしまうリスクがあるわけだ。さらに、3本目の矢である「成長戦略」で何が出て来るかもアベノミクスの方向性を決めることになるだろう。

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への取り組み

 日経平均が1万1,500円を超えた株価は今後どうなるのか。もはや最大の関心事は「アベノミクスの行方」にかかっていると言っても過言ではない。では、その方向性を見極めるうえで何が判断材料になるのか。ここで3つの試金石を提示しておこう。

 1つ目はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への取り組みだ。貿易立国である日本が、今後成長していくには米国やアジアとの経済連携が不可欠であることは言うまでもない。一方で、TPPに国益を損なう条項が含まれているという懸念があるのも事実だ。そんな懸念を払拭しながら、TPPの交渉に参加し、日本の国益を守れるかどうか。

 安倍首相はかねてから「聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上、TPPに参加しない」と述べてきた。この文言を全農などの農業団体は「TPP反対」と受け取ってきたが、安倍首相の周辺は、あくまで「聖域なき関税撤廃が前提条件」の場合だけが「不参加」で、本音では交渉参加に前向きだ、としていた。つまり、安倍首相は「逃げ道」を用意した言い回しを使ってきたのだ。

 2月22日のオバマ米大統領との首脳会談から帰国した安倍首相はこの逃げ道を活用した。「聖域なき関税撤廃が前提ではなくなった」ことが確認できたとして、交渉参加に向けて動き出したのだ。さらに、一気呵成に自民党役員会の「一任」も取り付けてしまった。

 これには、TPPに最も激しく反対してきた全農など農業団体は強く反発している。昨年末の総選挙では農協から支援を受ける代わりに「TPP反対」の踏み絵を踏まされている自民党候補者も多い。この党内の反発をかわすための「役員会一任」だったわけだ。これには反発する声が反対派議員から噴出している。安倍氏はそれをどう収めていくのかも、今後の焦点となるだろう。

 TPP参加に向けて大きく踏み出し、安倍首相の姿勢がブレなければ、株価には大きくプラスになるに違いない。このまま党内反対派を封じ込めることができるか、安倍首相の党内リーダーシップを占うことにもなる。

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