雑誌 ドクターZ
アベノミクスで給料は本当に上がるのか
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 アベノミクスでデフレから脱却してマイルドなインフレになると、給料がどうなるのか気になる人は多いだろう。物価が上がっても給料が上がらないと、懐が痛むばかりで生活が苦しくなるからだ。

 まずは過去のデータを見ておこう。デフレになったのは1995年度からなので、1971年度から1994年度の24年間をインフレ時代、1995年度から2011年度の17年間をデフレ時代と分けよう。それぞれの年度で、給料の上昇率とインフレ率の関係を調べ、給料の上昇率がインフレ率を上回ったら「勝ち」、下回ったら「負け」とする。

 結果は、インフレ時代は21勝3敗であるが、デフレ時代は5勝12敗と負け越し。さらに詳しく見ると、インフレ時代の平均給与上昇率は7・4%で平均インフレ率は4・9%、デフレ時代の平均給与上昇率はマイナス0・7%で平均インフレ率もマイナス0・1%となる。

 つまりデフレ時代は、物価は下がるがそれより給料の下がりが大きいためサラリーマンに酷。一方、インフレ時代は物価は多少上がるが、それを補って余りあるほど給料が上がるのだ。

 そもそも、アベノミクスとは、おカネを刷ることによって人々の気持ちをデフレ予想からインフレ予想に変え、それがさらに株高、円安をもたらすという政策だ。これが消費、輸出、設備投資の実需を生み、その結果、実際にインフレ率が高まり、さらに実需が増えるので、雇用、給料も増えていく。

 ただ物事には順番があり、給料の増加は遅れてやってくる。給料を早く上げすぎると、企業のコストが上昇し、業績も向上せずに再びデフレに後戻りするとの声もあるが、果たしてどうなのか。

 まず、実際にどの企業の賃上げがどの程度可能になるのかは、労使交渉の世界なので、誰もわからないし、国が強制できることでもない。一般的に、労使交渉はインフレ率に企業や産業ごとに異なる生産性向上分を加えて行われる。大手コンビニチェーンのローソンが平均3%の賃上げを表明したのも、決して慈善事業のつもりではなく、先を見越した営業戦略と考えれば納得のいく話だ。