株式市場は好反応するか?日米首脳会談を突破口にTPP交渉参加と日銀人事を仕組んだ安倍首相「二度目のしたたかさ」
〔PHOTO〕gettyimages

 今週の話題は、TPP交渉参加と日銀人事である。安倍政権は、先週の日米首脳会談を突破口として、この両懸案を同時に解決しようとしている。

 日銀人事は本来であれば、補正予算の成立後であると予想されていたが、TPP交渉参加とセットになって前倒しになった。TPP問題は与党内で、日銀人事は野党と協議が始まる。

 そのための舞台回しとして、今回の日米首脳会談は用意周到に仕組まれていた。

TPP問題はモタモタしていられない

 政権交代当初は、1月末にも日米首脳会談が開かれるといわれていた。その段階ではTPP交渉参加が全面的に議論されるということで、自民党内で激しい対立が予想された。しかし2月13日、北朝鮮が2006年、2009年に続き3度目の核実験を行ったことで、日米首脳会談がTPP問題だけに集中しなかったのは安倍政権にとって好都合だった。北朝鮮の動きを事前に察知し、日米首脳会談を先送りした感がある。

 尖閣諸島における中国による領海侵犯もあるので、集団的自衛権について一歩踏み出すことは日本の国益にもなるし、なにより安倍カラーを少し打ち出すことにもなる。日米関係の信頼を取り戻すには、日本側の集団的自衛権行使への何らかの言及が近道だ。そのために、自民党は昨年の衆院選で、「集団的自衛権は憲法改正なしで可能」との見解を出していたのだ。

 こうして安全保障にかなり重点を置いた首脳会談になると国民に予想させておいて、TPP交渉参加への地ならしをしたのだろう。日米共同声明は、とてもシンプルで、当たり前といえば当たり前で遅きに失したきらいがあるが、例外のないルールはないことを確認している。

 英文は、"it is not required to make a prior commitment to unilaterally eliminate all tariffs upon joining the TPP negotiations."とすっきりしている。

 今の為替状況から考えると、TPP交渉参加への地ならしを株式市場は好感するだろう。18日の産業競争力会議で、農業輸出を4,500億円から1兆円に拡大する目標などが話し合われた。こうした輸出のためにはTPPの交渉に参加しなければ話にならない。

 実のところ、TPP問題はモタモタしていられない。安倍政権は夏の参院選までTPP交渉への参加を封印するといわれているが、米国の「90日ルール」があり、今月末までに参加を表明しないと、日本の国益が損なわれる可能性がある。どういうことかというと、米国のルールとして新しい国の参加の90日前までに議会に通知する必要があるので、参加表明が来月になると5月の交渉には加われず、日本の交渉参加は次は9月まで先送りになってしまうのだ。

 そうなると、今のところ予定されている10月のTPP交渉妥結(APECバリ会合)までには1ヵ月しかないので、事実上日本の国益を主張できなくなってしまうだろう。こうした交渉は遅れるのが常ではあるが、予定通りにいくことを想定するのが外交の常識だ。まあ、交渉参加は、政府の権限なのに、先送りした民主党政権が悪かったのであるが。

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