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特別対談 相馬勝×ウィリー・ラム「三流国家」としての中国を語ろう

改革なんて絶対に無理

相馬 中国は尖閣問題の他にも、大気汚染、蔓延する腐敗問題など、まさに難問山積、内憂外患の様相を呈しています。中国は改革開放路線を推進してから、大きな問題を抱え込み、経済の繁栄と反比例するように、モラルの欠如が目立っています。まさに「三流国家」に成り下がったと言えますね。

ラム 習近平は、昨年11月に行われた総書記への就任会見で「中華民族の復興」を公約として掲げました。しかし、それを成し遂げても、共産党の一党独裁体制が続く限り、中国が国際的な判断基準、国際的な常識を受け入れることはありません。そればかりか、汚職の蔓延、腐敗は続き、世界的な環境汚染の元凶となり、強い軍事力を背景にして世界中に紛争の種を輸出するという非常識な国家となります。

 しかも、政争をめぐって、常に共産党内部では激しい権力闘争が展開されている。経済力や軍事力の割には、民主化は根付かず、政治的に貧困な三流国家といえます。中国がこのような三流国家から脱出するには、1989年の天安門事件以来途絶えている政治改革、民主改革を断行する以外にありません。

相馬 ただ、根っからの共産主義者である習近平が政治改革を実行する可能性はほとんどないと私は見ています。その結果、対外的な紛争で共産党政権が倒れるか、あるいは内部の矛盾を解決するため、共産党以外の他の勢力が民主改革を成し遂げるか。軍が決起して、軍事国家になるか、あるいは、清朝末期と同じように軍閥割拠の様相を呈するか。

 いずれにしても、中国が一党独裁体制を維持しようとする限り、その前途は暗い。党・政府高官は子息を欧米の大学に留学させ、留学先の国籍を取らせて、欧米に蓄財するなど、中国の崩壊に備えている。政治家が国の崩壊に備えて子息を留学させている国など、中国くらいでしょう。ちなみに、一人娘をハーバード大学に留学させているトップの習近平も、その一人です。

ラム 中国の政治腐敗は本当に凄まじいですね。中国では、共産党幹部のファミリーが形成している200以上の政治ビジネス集団が、政治と経済を独占しています。中国では鄧小平ら共産主義政権誕生に大きく貢献した八大元老の2世や3世らファミリーメンバー103人のうち26人が国有企業のトップを務めているほか、43人も民営企業を経営しており、「太子党」と呼ばれる高級幹部の子弟が経済的に優遇されているのです。革命家の子孫はブルジョア資本家に変貌したと言ってもよいでしょう。もちろん、このような腐敗の傾向は下っ端の幹部にも広がっており、まさに〝全民汚職〟の様相を呈しています。

相馬 習近平は「中華民族の復興」とともに、「腐敗の撲滅」を公約に掲げています。腐敗には汚職ばかりでなく、女性問題も含まれていると思いますが、最近、ユーチューブや中国版ツイッターといわれる「微博」の普及で、一般市民が幹部の腐敗を暴く事件が続発していますね。

ラム 昨年11月には、重慶市の区党委書記の雷政富と18歳の愛人との情事の動画がインターネットに流れ大きな話題となり、雷は解任されました。また、重慶市の元トップの薄熙来もトップ女優やキャスターなど、数十人の女性と関係を持ったことで知られています。中国の公式メディアは薄熙来について「最も汚れたペニスを持つ男」と紹介したほどです。薄熙来の場合、親しい実業家が女性を紹介していたことが分かっていますが、中国では汚職絡みで「性の賄賂」を提供するケースが多い。

 雷の場合も、知り合いの建設会社社長が献上した女性と関係を持ったが、その社長は現場に隠しカメラを仕掛けていた。この社長は雷と同じように10人の党幹部にも性の賄賂を贈っていましたが、だれも拒む者はいなかったそうです。

相馬 つい最近も、中国共産党の中枢で、毛沢東思想やマルクス・レーニン主義に関する研究などを各国語に翻訳する党中央編訳局長が、女性研究員との不倫がばれて解任されたケースがありました。しかも以前に編訳局に就職できるよう斡旋するとして、数百万元もの口利き料や高級時計など多額の金品を要求し、貢がせていたことが発覚しています。約束を守らないことに怒った不倫相手の女性が局長との出会いから不倫までの物語を12万字にわたって小説風にまとめ、不倫回数が17回に及んだことなど、ネット上で詳細に暴露したことが発端でした。

ラム 「共産党はどういう基準で幹部を選んでいるのか」「全国で同じようなことが起きているはずだ。この国は腐りきっている」といった政府批判がインターネットに続々と寄せられています。権力をちらつかせて、女性との関係を迫るというのは世界共通で中国ばかりではないですが、中国の場合、その度合いが甚だしくひどい。薄熙来のように「汚れたペニス」を持つ男がたくさんいるのではないでしょうか。

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