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PCなりすまし事件の真相「誤認逮捕」今度は大丈夫?学習院中高出身 のネコ男を新聞・テレビに「売った」警視庁

 逮捕と同時に容疑者の私生活を盗撮した映像・写真が氾濫する。そのことに強い違和感を覚える。捜査情報をリークした捜査当局と、その〝広報機関〟と化したメディアに、あの「誤認逮捕」の反省はない。

父親は元IBMのエンジニア

 オタク風の人物がひも状のおもちゃでネコをあやし、満面の笑みで膝に抱きかかえてなでる。時に生ビールをすすり、携帯電話でネコを撮影—。

 逮捕前日、自らが報道機関に尾行されていることも知らず、東京・浅草の「猫カフェ」でくつろぐ容疑者の姿。NHKなど、大手メディアで紹介された「PCなりすまし事件」の真犯人、片山祐輔容疑者(30歳・以下呼称略)の映像や写真に驚きを覚えた人も多いのではないか。

 無断で撮影された同店の店長が言う。

「たしかに2月9日の午後3時頃から約1時間、ソファ席に座りました。生ビール1杯を注文して、ネコと楽しそうに遊んでいた。ネコ好きのお客様という以上の印象はありません。困惑しているのは、マスコミ3社に店内で盗撮されたことです。報道後、『お前の店が盗撮してマスコミに売ったのか』というクレームが殺到しています。うちは勝手に撮られただけなのに・・・・・・。NHKさんには『映像を使わないでください』と申し入れました。そもそも、逮捕前にもかかわらず、なぜマスコミは犯人をつけていたのか、疑問です」

 なぜ犯人を知っていたのか。それは、他ならぬ警察が、マスコミに事前に伝えていたからだ。一連の逮捕劇の背景には警察とメディアの奇妙な馴れ合い関係があるが、このことは後で詳述する。

 警察の捜査を嘲笑い、ついに逮捕された片山とはどういう人物なのか。

 片山は名門・学習院の中・高等科を卒業後、東京電機大学に進学。4年時に退学してコンピュータの専門学校に進んだ。

 高校時代の同級生が印象を語る。

「当時の彼は存在感がありませんでした。こんな大きなことをしでかすような人とは思えなかった」

 父親はIBMにエンジニアとして勤めるかたわら、アマチュアの数学研究者として著述業も行っていた。仕事上の付き合いのあった出版社社員がこう話す。

「真面目で純朴で、一言で言えば堅い人でした。情報工学が専門で、日常的に数学に触れているとのことでした。数学に対する思いは熱く、『自分の息子も含め、子供たちに数学の魅力を伝えたい』と話していたことが印象に残っています。家庭の話はあまりしませんでしたが、教育熱心だったと思います。『数学については家庭教師代わりに息子の勉強を見ていた』と話していましたから」

 父親の思いは、残念ながら息子には伝わらなかったようだ。片山はインターネット上で犯行予告を繰り返し書き込むようになる。

 専門学校在学時の'05年11月、「2ちゃんねる」に大手レコード会社エイベックス社員らの殺害予告を書き込んだとして、片山は脅迫罪で警視庁に逮捕された。同社が発売したヒット曲「恋のマイアヒ」に登場する猫のキャラクター「のまネコ」が、「2ちゃんねる」に登場する猫のキャラクターに似ていることに反発したためと見られる。

 この事件の公判を裁判ウォッチャーで芸人の阿曽山大噴火氏が傍聴している。

「第2回公判では、両親と被告人の証人尋問がありました。弁護人は『回避性人格障害』を主張。被告人は罪を認めていたので、回避性人格障害を主張し、情状酌量を求めて、裁判は進んでいきました。回避性人格障害というものもいろいろ種類があり、一概には言い切れませんが、人付き合いが下手で、恥をかくことを嫌がり、親密な人間関係を回避しようとする傾向が強いということです」

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