この著者に聞け
2013年02月24日(日)

家電・自動車業界は再び浮上できるのか!? ~『メイドインジャパン驕りの代償』著者:井上久男(フリージャーナリスト)

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---『メイドインジャパン驕りの代償』(NHK出版)が刊行されました。本の中で、パナソニックやシャープといった家電メーカーの大赤字の原因は、経営者の能力不足による「人災」だと書かれています。一方で、これまでの超円高が日本の製造業の競争力の低下の要因であり、経営者を責めるべきではないという論調もありますが、どう思いますか?

 私は誰が何と言おうと「人災」だと思います。

 パナソニックの場合が象徴的です。プラズマパネルへの過剰投資で失敗したのにそれを糊塗し、方針転換で今度は国内で液晶パネルに投資したら2年も経たずに減損処理を迫られることになりました。約8,000億円という巨費を投じて三洋電機を買収しましたが、そのシナジー効果が出るどころか、買収した事業の業績が悪化し、のれん代の償却を迫られ、それが大赤字の大きな要因となっています。

 三洋買収については、中村邦夫相談役(前会長)が社長時代に、グループの不動産会社である松下興産を特別清算した際に、三井住友銀行に債権放棄してもらい「借り」を作りましたが、その「借り」を返すために、メーンバンクとして扱いに困っていた三洋電機の買収を引受けたわけです。その判断に経済合理性があったとはとても言えません。こうした現実を見ないで、すべて円高のせいにしていたら、誰も経営責任を取る人はいなくなりますよ。

 最悪なのは、プラズマや液晶への投資を失敗したことを、失敗だと認めなかったことです。経営者も人間だからミスを犯します。それは仕方ありません。その際にはリカバリーの速さが重要になりますが、失敗を覆い隠そうとしました。だから「傷口」が広がったのです。それを指摘するマスコミがあれば、豊富な広告力をバックに圧力をかけていました。

『メイドインジャパン驕りの代償』
著者: 井上久男
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 中村社長の後を引き継いだ大坪文雄社長(現会長)時代に投資は実行されましたが、率直に言って、大坪社長は中村会長の「傀儡政権」でしたので、そのほとんどは中村氏の意向によるものです。「天皇」と言われるほど社内でその権力が絶対化されていた中村氏の判断が間違っていても誰も意見が言えませんでした。

 そして、中村氏は経営責任を取ることもなく、相談役に退いて、今でも毎日会社に来ているそうです。大坪氏に至っては、代表権のある会長に「昇進」しましたからね。その一方で、業績悪化に伴い、社員の肩たたきが行われ、「追い出し部屋」ができています。そんな中で63年ぶりの無配に転落させた「戦犯」である2人が悠悠自適で職に留まっていること自体、おかしいと思いませんか。

次ページ ---シャープについてもやはり…
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