世界標準へのレジームチェンジを目指す安倍政権と、旧来レジームに取り込まれ続ける日本のメディア
〔PHOTO〕gettyimages

 日銀総裁選びが大詰めになってきた。新聞やテレビはこの数週間、いろいろ候補者を予想して記事や番組を作ってきたが、はっきり言ってピンぼけ解説ばかりではなかったか。私からすると、ほとんどは財務省や日銀の意向を忖度した提灯記事ばかりだったように見える。とてもじゃないが、独立したジャーナリズムの仕事とは思えないのだ。

 たとえば、NHKは2月20日夜の番組で民間のエコノミスト10人が予想する候補者を挙げて解説した。その結果はといえば、岩田一政日本経済研究センター理事長と武藤敏郎大和総研理事長(元財務事務次官)の2人が最有力という話になっていた。

 これは驚くには値しない。なぜかといえば、そもそも投票したエコノミストの顔ぶれが財務省や日銀と取引している金融機関のサラリーマンばかりだからだ。中には、日銀なくして存在できない短資会社のエコノミストまでいた。彼らが最重要のお得意様である財務省や日銀の意向に背くような候補者の名を挙げるはずがないのだ。

 とくに番組に顔写真が出た短資エコノミストは、「日銀の宣伝係」として金融業界で知らぬ者はいない。もちろん、そんなことはNHKだって百も承知のはずなのに、そういう人に投票させるという企画自体が日銀(と背後にいる財務省)の意向を反映している。

 それで、もっともらしい解説番組になったと満足しているとすれば、私も「やっぱり受信料払うの、やめるか」と思ってしまう。べつにNHKだけでなく、他のテレビや新聞も似たり寄ったりである。

御用エコノミストの世論誘導作戦

 今回、どうしても日銀総裁にOBを送り込みたい財務省は、エコノミストはもちろん新聞やテレビの記者たちにも猛烈な刷り込み作戦を仕掛けて、相場観作りに勤しんできた。そんなエコノミストたちの発言を新聞、テレビがこぞって紹介することで、財務省路線が世の中に浸透し、安倍に「世論はこう期待してますよ」と圧力をかける。そういう仕組みである。

 ズバリ言えば、御用エコノミストとポチ記者たちの世論誘導作戦である。私はNHKの番組を見ていて、あんまりばかばかしいので、途中でチャンネルを切り替えてしまった。こういうものをいくら見ても、なんの役にも立たない。自分の頭が濁るだけだ。

 私は金融政策について安倍の考え方(人事ではない)を何度も本人から聞いているので、実は日銀総裁人事そのものについては、ほとんど心配していない。

 なにより安倍自身がまったく最初からぶれていない。2%の物価安定目標は日銀に飲ませた。肝心の大胆な金融緩和は次の総裁にかかっているが、万が一、安倍が指名したにもかかわらず、次の総裁が緩和に消極的なら、安倍はためらわず日銀法改正に踏み出すだろう。基本的な路線はもう出来ているのだ。これが大前提である。

 だから、だれがいいとか悪いとか、人事を当てることにも、率直に言って大して関心がない。だれが総裁、副総裁になったところで、日銀は大胆な金融緩和に踏み切らざるを得ないのだ。したがって、その結果であるデフレ脱却と景気回復についても、そう心配していない。

 そのうえで、あんまりメディアの報道がひどいから、あえて私自身の見方を書いておこう。はっきり断っておくが、これは私の見方であって、安倍の考え方そのものではない。まして私が安倍からこっそり聞いた話ではまったくない。

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