川口マーン惠美「シュトゥットガルト通信」

イギリスの馬肉スキャンダルがドイツにも飛び火! 馬肉ラザニアや、馬肉シチューの缶詰が、次々と発見される事態に

2013年02月22日(金) 川口マーン惠美
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〔PHOTO〕gettyimages

 イギリスで販売されていた冷凍食品のラザニアに、牛の挽肉の代わりに馬の挽肉が使われていたことが発覚して、大騒ぎになっている。第一報が流れたのは2月8日のことだ。

 イギリスには、競馬やポロといった上流階級の伝統的な娯楽があるし、優秀な軍馬は軍人の誇りでもある。それは庶民の間でも同じで、いうなれば、馬はお友達のようなものだ。それを知らずに食べてしまった人がたくさんいるわけだから、ショックは大きい。

 ドイツでも、馬を食べる習慣はない。数年前、ベルリンの屋台で、馬肉のサラミを販売しているのを見たことがあるが、これなど例外中の例外で、馬肉はおそらくドイツでは、一部のグルメ用かゲテモノのどちらかだ。ドイツ人が馬肉を食用にしたのは、戦中、戦後の食糧難の時代にまで遡らなければならないだろう。

 有名な写真がある。戦争末期、馬が道端で餓死した。そこに、すわ、近所の人が包丁を持って寄ってきて、肉を切り取っている写真だ。そういえば、夫の母からも、当時、一時、馬肉が配給されたことがあったという話を聞いたことがある。しかし義母は、空腹にもかかわらず、飲み下せなかったというから、ドイツ人の馬肉に対する抵抗感はとても強い。

 ところが、イギリスで馬肉スキャンダルが勃発した5日後、ドイツでも、馬肉ラザニアや、馬肉シチューの缶詰が、次々と発見され始めた。それ以来、この一週間というもの、トップニュースといえば馬肉の話ばかりだ。

なんとも複雑怪奇な食肉の流通経路

 ドイツでは、馬は美しい生き物の象徴だ。大きな催し物のある時など、警備のために騎馬警官が出て、すっくと並ぶ光景は、威圧感と壮麗な雰囲気とが相まって、確かにすばらしい。女の子の間では乗馬は憧れのスポーツで、乗馬クラブはどこもかしこも盛況だ。とはいえ、今回の大騒ぎは尋常ではない。まるで、馬肉を食べれば即死するかのようだ。

次ページ  ただ、だんだんとその全容が明…
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