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「地頭がいいヤツ」の研究 第2部 就活の「地頭テスト」って、どんな問題なの? 第3部 人事部のみなさん、地頭がよくても仕事ができない人はいっぱいいます

第2部 就活の「地頭テスト」って、どんな問題なの?

Q1 シカゴにピアノ調律師は何人いるか?
Q2 日本全国に犬は何匹いるか?
Q3 世界中で一日に食べられるピザは何枚か?

 これらの質問に即答できる人は—多分いない。

 これは「フェルミ推定」と呼ばれる設問で、世の中に存在する「ある物」の数量を問う一見荒唐無稽な質問に、いかに論理的に解答するか、が試されている。

 もともとはマッキンゼーやボストンコンサルティングといった、外資系の戦略コンサルティング会社が面接に導入したもので、それが5年ほど前から、日本の一部の企業でももてはやされるようになった。

 なぜか。フェルミ推定が「地頭力を計る」いちばんの方法という説が、一時期流布していたからだ。

 本当にそうかどうかは後述するが、先ほどの問題の答えが「まるで見当がつかん」という読者のために、簡単に解説しておこう。

【Q1の解答例】

(1)まずシカゴの人口から、シカゴにあるピアノの台数を推定する。

 ポイントは問題を解くのに、シカゴの人口を知らなくてもまったく構わない、という点。論理展開さえ正しければ、あとで正しい数値に置きかえればいいという発想だ。東京よりはだいぶ少ないだろうという推測で、仮に300万人とする。

 ではピアノは何台か。そのためにまず、世帯数を出す。アメリカは1世帯3人と仮定して(ここも正確である必要はない)、100万世帯。そのうち、 ピアノが買える富裕層は半分として、50万世帯。だいたい10世帯に1台ピアノがあると考えれば、ピアノの台数は5万台ということになる。

(2)次に、調律の需要を推定する。だいたい1年に1回として、年間5万件の需要があると考える。

(3)次は供給。調律師一人あたり、年間何件の需要に応じられるか。年間200日働くとして、一日平均3件(アメリカは移動距離が長いので)で、年間600件の調律がこなせる。

(4)あらゆる職業は需給バランスが取れている、という経済学の常識からして、年間需要(5万)÷一人あたりの年間供給(600)=約83人、という解答が導き出せる。

 タネを明かせば、なんだ、そんなことか、と思った人が多いだろう。前出の大久保氏も、コンサル会社の面接ならともかく、一般企業の面接にこの通称「地頭テスト」を導入することには否定的だ。