東電・福島第1原発の代替電力確保に暗雲!? 「火力電源の入札募集」に影を落とす環境省と経産省の意見対立
〔PHOTO〕gettyimages

 廃炉が避けられない福島第1原発の1~4号機に代わって、常時使用できる電源を自社以外の火力発電所から購入するために、東京電力が15日から開始した「火力電源の入札募集」に暗雲が立ち込めている。

 背景にあるのは、環境省と経済産業省の電力政策を巡る閣内不一致だ。懸案の火力発電全体の長期戦略を棚上げして、目先の入札を強行しようとした経済産業省に対して、今回、落札確実な石炭火力発電が地球温暖化を加速する悪役と決め付ける環境省が、後先を考えず"待った"をかけようとしているのだ。

 そんな閣内不一致を嫌ってのことだろう。当初、200社前後が応札するとみられたにもかかわらず、ここへきて東電が開いた入札説明会の参加企業はわずか50社にとどまった。国民から見れば、政府のゴタゴタで電気料金が押し上げられかねない状況、と言わざるを得ない。

 原発依存度の引き下げ、電力の安定供給、発送電分離を軸とした電力制度の見直し、経済の先行きなどを左右しかねない問題だけに、安倍晋三首相の指導力が問われよう。

石炭火力発電を狙い撃ちにする石原大臣

 事の発端は1月15日、定例閣議後記者会見における石原伸晃環境大臣の発言だ。同大臣は、記者の質問に答える形で、

 「私は非常に心を痛めています。石炭火力はかなりフィルター等々が進歩して、有害物質の排出は抑えられるようになってきました。そして、コストが低いことも承知しています。しかし、我が省のレーゾンデートルたるCO2の削減、これには非常にネガティブな発電装置です」

 「CO2の問題は人類の存続のかかった問題なのです」

 などと、言い放った。

 東電の「火力電源の入札募集」が、石原発言で「石炭火力」に限定されていることには、多少の解説が必要だろう。

 東電は今回、これ以上の電気料金の引き上げを避けるため、廉価な電源を求めている。具体的には、入札条件として、1kWh当たり9.53円を上限として、これ以下の価格で応札するように求めているのだ。安い順に、募集枠に達するまで、落札できる仕組みになっている。

 この上限価格が設けられたため、もともとコストが高い石油火力発電での応札は論外になった。米国で将来の大量供給の目途が立ち、日本にも輸入できると期待されているシェールガスも間に合わない。

 さらに入札価格算出の前提となる燃料費だけでなく、東電は、設備の稼働率でも「年間契約基準利用率で70~80%」といった厳しい条件を定めている。

 こうした条件を満たしたうえで、供給を、今回の入札対象である2019年6月からの3年間に間に合わせるには、事実上、石炭火力発電しか選択肢が存在しないのが実情。そこで、石原大臣は、石炭火力発電を狙い撃ちにして、批判を展開したわけだ。

 石原大臣の省益擁護発言に勢いづいた環境省はその後、東電の入札を断固として阻止しようとエスカレート。今月初めまでに、文書まで発出して、経済産業省に入札延期を指導するよう迫ったという。経済産業省、資源エネルギー庁、東京電力が一体になって、昨年11月から入札準備を進めてきたのを黙認していたのに、ここにきて急に、強引に中断させようと態度を豹変させたわけだ。

 経済産業省がこれを無視した場合、環境省は、環境アセス関連の許認可権を盾にとって、石炭火力発電所の新設やリプレースを拒否する姿勢もちらつかせているという。

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