[プロ野球]
巨人・土田瑞起「どん底から支配下へ」

アイランドリーグ出身選手たちは今 2013年Vol.2

越智のような右腕に

 雷神2世――昨年末、1年目を終えた土田に対して、そんな見出しがスポーツ紙を飾った。右腕を高く評価したのは阿波野秀幸2軍投手コーチだ。“雷神”のニックネームを持つ先輩の越智大祐のようになれる。大きな期待を抱かせての2年目のスタートだ。

 ルーキーイヤーは夏場から2軍でコンスタントに登板し、20試合に投げて2勝2敗、防御率2.44の成績を収めた。140キロ台のストレートにスライダー、フォークを織り交ぜ、中継ぎのみならず、先発も任された。

 決してシーズン当初は順風満帆ではなかった。春先、大学生相手の交流試合では制球が定まらず、ストライクを取りに行ったところを打ち込まれた。
「プロとしてのプライドを完全に失いましたね」

 これではNPBでは絶対に通用しない……アイランドリーグでの4年間も無意味になりそうな気がした。

 どん底まで落ちれば、後は這い上がるしかない。コーチの指導を受けながら、土田は一から自らのピッチングを見つめ直した。豊田清2軍投手コーチからは「キャッチボールの1球1球からフォームを意識して投げる」ことを教わった。阿波野コーチからは「ヒジの位置が低いとコントロールが定まらない」との指摘を受けた。田畑一也2軍投手コーチからは「力いっぱい放るのではなくバランスを考えるように」とアドバイスされた。

 土田はアイランドリーグ時代から勢いで投げるタイプだった。ゆえに制球力にはどうしても難がある。いきなり壁にぶち当たった土田は、コーチの教えをひとつひとつ素直に実践していった。それを1カ月、2カ月と続けているうちに、一皮むけた自分がそこにいた。力任せに放って自滅していた右腕が、自然体でピッチングができるようになっていた。

「それまでは、もっと速い球を投げたい、もっとスピードを出したいと、最初からガチガチに力を入れて放っていました。でも、フォームのバランスを考えて、最後のリリースのところだけ力を入れたボールでも全くスピードは変わらない。しかも、コントロールがつけられる。そのことに気づけたのは自分にとって大きかったですね」