中国
核実験は金正恩体制崩壊コースの一里塚!? 米中関係が進展した今、中国にとって北朝鮮はもはや"用済みの駒"という現実
〔PHOTO〕gettyimages

 「わが国の核実験は、以前と違って、爆発力が大きくなり、かつ小型化・軽量化された原子爆弾を使用し、高い水準で安全かつ完璧に行われた。われわれの核抑止力の優れた性能が、物理的に誇示されたのだ!」

 2月12日、ついに北朝鮮が、3度目の核実験を強行した。朝鮮中央通信は、すぐさま冒頭のような声明を発表し、核実験の成功を内外に鼓吹した。1月22日に国連安保理が、4度目の対北朝鮮非難決議を決め、「さらなる核実験に対しては安保理として重大な行動を取る」と警告したばかりである。国連の権威も地に堕ちたものだ。

 ところで、核実験の直後に、日本の新聞は号外を出したが、翌13日の朝鮮労働党機関紙『労働新聞』の厚さはものすごかった。いつも私が見ている電子版は、数ページに収まっているが、この日ばかりは42ページ! ということは、北朝鮮の印刷事情などを鑑みても、はじめから「2月12日」を目指して、周到に準備されていたということだ。

 では、なぜ2月12日だったのか? それには次の3つの理由が考えられる。

①2月16日の「光明星節」(故・金正日総書記誕生日)
光明星節は、北朝鮮で最も大事な祝日である。核大国への道は金正日総書記の"遺訓"だけに、後継者の金正恩第一書記は、どうしてもこの日までに強行し、『先軍政治』(軍最優先の政治)の継承を国内に示す必要があった。

②アメリカの一般教書演説
42ページに及ぶ2月13日の『労働新聞』を愚直に読んでみたが、「アメリカが敵視政策を続ける限り、こちらも徹底抗戦してやる!」という決意を繰り返し述べているに過ぎない。アメリカまで届く核弾道ミサイルの完成を証明することによって、交渉のテーブルに引きずり込もうと考え、そのためには、オバマ大統領の一年で一番の晴れの日である一般教書演説にぶつけるのが、最も効果的と判断したのである。

③中国と韓国の春節(2月10日)
北部と南部でそれぞれ国境を接する中国と韓国は、10日の春節を挟んで大型連休に入っている。この時期に核実験を行えば、中国と韓国の官庁は休みなので、両国に与えるインパクトは少ないと見た。

「金正恩よ、もう許さないから覚悟せよ!」

 さて、今後カギとなるのは、何と言っても中国の出方である。

 2012年の中朝貿易は、約60億ドルに上る。これは北朝鮮の全貿易額の約8割にあたる。私は平壌に2回行ったことがあるが、どの店に入っても人民元は大歓迎であった。そして、日用雑貨から電気製品、食料品に至るまで、ほとんどすべてが中国製品なのである。経済的には、完全に中国の植民地と言える。

 しかも中国は、食糧、重油、肥料を北朝鮮に定期的に援助している。これらの援助がストップすれば、その日から北朝鮮国民の生活は、激変するに違いない。

 ある北朝鮮の関係者に聞いたところでは、この冬、気温が零下25度まで下がったにもかかわらず、首都・平壌では一般家庭はおろか職場でさえも暖房がなかったという。このため、24時間、どこにいてもオーバーにくるまり、家では布団にくるまっている状態だったという。それでも平壌はコンクリートの建物があるだけまだマシで、平壌以外の町では、凍死者が続出したという。

 春先から夏にかけては毎年、前年の秋に収穫した穀物が底をつく季節である。このため、「光明星節」と「太陽説」(4月15日の故・金日成主席誕生日)にかこつけて、中国から援助を取り付けるのが慣わしになっている。

 ところが、1月22日、国連安保理で北朝鮮への5度目の制裁決議が採択された際には、中国も賛成に回った。習近平総書記は、前任の胡錦濤総書記や、その前任の江沢民総書記の時代とは、北朝鮮に向けたスタンスを、明らかに変えてきているのである。一言で言えば、「金正恩よ、もう許さないから覚悟せよ!」ということだ。

 ある中国の外交関係者によれば、核実験の前日11日の夜に、北朝鮮から「明日、実行する」と、ぶっきらぼうな連絡が入ったという。「中国は強く反対する」と告げたところ、「今回は前日に連絡したのだから、わが国の誠意をありがたく思うべきだ」と言ってきたとのことだ。ちなみに、06年10月の1度目は実験の約1時間前、09年5月の2度目は実験とほぼ同時だったという。

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