「その苦悩と決断」Jリーグ「戦力外通告」の男たち

フライデー
髙原寿康(32)
岐阜県出身。GK。コンサドーレ札幌―清水エスパルス。度重なるケガに悩まされるも新天地で正GK獲得を目指す。チーム合流前の1月は、地元岐阜で調整していた〔PHOTO〕花井知之

 普通なら現役をあきらめる状況だが、寿康はコンサドーレ札幌に志願する。

「練習生でもいいからケガが治るまで置いてくれないか、と頼みました。すがるような気持ちでした」

 断られたらサッカー選手をやめるしかない。大学に体育教師の免許を取りにいこうか本気で考えもした。受け入れてくれた札幌には今でも感謝しているという。

「練習生から契約までこぎつけましたが、試合にはなかなか出場できなかった」

 GKはチーム内に3~4人登録されるがレギュラー枠はひとつしかない。よって、他のポジションの控え選手よりチャンスは格段に少ない。

「3年前にようやく試合に出られるようになったのですが、アキレス腱を断裂してしまって。でも、札幌はボクの回復を待ってくれました」

 それからは手術とリハビリを繰り返す苦しい日々が続いた。

「走ることはおろか、歩くこともできなかったので苦しかった。昨シーズンの9月にようやく復帰できたんです」

 実に1年10ヵ月ぶりの試合だった。逆境を跳ね返して正ゴールキーパーの座をつかんだ寿康は獅子奮迅の活躍を見せるが、チームはJ2に降格。札幌は経営が苦しくなる来シーズンを見越し、レギュラーの半数以上を放出せざるを得なかった。寿康の契約も更新されなかった。

「これが2回目の戦力外通告です。でもケガが治って試合でも活躍できたから、清水が拾ってくれた。1回目のような絶望感はなかったです」

 今季、清水ではベンチを温める機会が増えるかもしれない。ガマンしながら虎視眈々とチャンスをうかがう。寿康の正念場がやってくる。

 戦力外通告を乗り越え、新天地を見つける選手がいる一方で、いまだに移籍先が見つからず苦悩し続ける男がいる。アテネ五輪アジア地区予選で、U―23日本代表に選ばれた根本裕一(31)も、その一人だ。