「その苦悩と決断」Jリーグ「戦力外通告」の男たち

フライデー

 ジョーカーとしての役割を期待されトルシエJAPANに初選出されて以降、世界を舞台に戦ってきた三都主も、ベテランになり、若返りを図る名古屋ではガマンのシーズンが続いた。

「コンディションが上がってきても使ってもらえない。試合のパフォーマンスがよくても次節ではベンチ。そういう日々だった」

 ベテランは使ってもらえないとわかっているなかで、モチベーションを維持する。その作業は容易ではない。

「選手としてというより、人として父親として、どんな壁が現れてもチャレンジし続ける。それがボクのテーマ。名古屋でやれることはやりきった」

 来シーズン加入する栃木SCの目標は、ヴェルディと同じくJ1昇格。新加入選手のお披露目となったザスパクサツ群馬との練習試合では、三都主目当てのサポーター約1100人が駆けつけた。チーム広報も「過去に練習試合でこんなに人が入ったことはない、アレックスのおかげ」と驚く。期待してくれる栃木サポーターのためにも結果を出さなければいけない。そのために、チームが求める形に自分を合わせることも厭わない。

「'02年の頃は、サイドからどんどん仕掛けることを要求されたけど、今は求められることが変わってきた。栃木では、フィールド中央でのプレーを求められることもある。そんなときも〝チャレンジ〟することを忘れずにやっていきたい」

 悩んだベテランは、開き直ってチームのために全力を尽くす。

 昨季、Jリーグ20年の歴史上最速でJ2降格が決まったコンサドーレ札幌のGK髙原寿康(32)も、合同トライアウトを受けた一人だ。寿康は、30分×5本で行われたトライアウトの5試合目に登場すると、短い時間ながら好守を見せた。

 寿康は'03年、大学ナンバーワンGKという評価を引っさげ、ジュビロ磐田に入団。鹿島アントラーズからも誘いがあったという。これまで2度の戦力外通告を言い渡されているが、不屈の精神で乗り越えてきた。

「練習生でもいい」

 初めて戦力外通告を言い渡されたのは27歳。レンタル先のコンサドーレ札幌から磐田に戻ると契約更新をしない旨が伝えられた。目の前が真っ暗になった。

「シーズン終盤に左足小指の複雑骨折をしてしまって、トライアウトにも回復が間に合わない状況でした」