「その苦悩と決断」Jリーグ「戦力外通告」の男たち

 '14年のブラジルW杯に向けて盛り上がる日本サッカー界。今冬も、ロンドン五輪で活躍した永井謙佑(23)や、横浜F・マリノスの10番・小野裕二(20)らが欧州に移籍して、W杯本大会での日本代表入りに向けて研鑽を積んでいる。

 だが、スポットライトが当たる選手の陰で所属チームから「戦力外通告」を突きつけられ、苦悩する者たちもいる―。

高原直泰(33)
静岡県出身。FW。清水エスパルス―東京ヴェルディ。清水東高校からジュビロ磐田に入団。アルゼンチンの名門ボカ・ジュニアーズや独ブンデスリーガのHSVでも活躍した〔PHOTO〕村上庄吾

 元日本代表の高原直泰(33)は、昨季、静岡の地で平穏を感じていた。Jリーグやアジアカップで得点王に輝き、ドイツではオリバー・カーン(43)の連続無失点記録に終止符を打つヘッドをはじめ、通算32得点を挙げた実績がある。'02年の日韓W杯こそエコノミークラス症候群で大会寸前に代表落ちを経験したが、日本を代表するストライカーであることに間違いはない。アルゼンチンや韓国などでも結果を残してきた彼にとって、地元・静岡でプレーすることは特別だった。

「ここで現役生活を終えてもいいと思っていた。街の雰囲気とか人に触れて、オレは静岡が好きなんだって」

 地元に帰ってはじめて、そのことに気づいた。だが、昨季終了後、清水エスパルスから契約期間満了に伴う、契約更新のオファーはなかった。事実上の戦力外通告である。静岡で引退を考えてはいるが、今ではない。ここ数年、なかなか出場機会に恵まれなかった高原には、選手としてもうひと花咲かせたいという気持ちがあった。

「清水を離れることが決まって、どうしようかと思っていたときに三浦(泰年)監督が声を掛けてきてくれた」

 来季、カズの兄・三浦泰年が率いる東京ヴェルディを6年ぶりにJ1に昇格させること。それが次の目標だ。J1やヨーロッパ、アメリカのチームからもオファーがあったが、高原はあえてJ2のヴェルディを選択した。それはなぜなのか。

「三浦監督と話していてすごく必要としてくれているのが伝わってきたから。監督は選手としてずっとやってた人だから、オレのこともしっかり考えてくれてる。そう思えたことが一番大きい」