地方制度見直し論議が焦点に
安倍内閣で道州制再浮上、政令市区長の特別職化も検討[分権改革]

 安倍晋三内閣の発足に伴い地方制度の見直し論議が分権改革の焦点として浮上している。都道府県を数ブロックに再編する道州制導入に向けた基本法の制定問題が与野党間で動きつつあり、大都市制度の見直しも政府内で議論が進み政令市の区長の特別職化などの検討が本格化しそうだ。

 政権再交代に伴い内閣府の地域主権戦略室はさっそく「地方分権改革推進室」に名称を改めた。「地域主権」という呼称に自民党はもともと「法律上はあり得ない用語」として強く反発してきた。

 民主党独自の改革だったひもつき補助金の一括交付金化(地域自主戦略交付金)も廃止の方向が早々に固まり、国の出先機関を地方に移譲する改革もお蔵入りしそうだ。「看板」の書き換えは分権改革の軌道修正を印象づけた。

 自民党の政権復帰に伴い、再浮上しているのがこれまで沈静化していた道州制の導入論議だ。同党は昨年12月の衆院選公約で基本法を早期に制定し、それから5年以内の制度実施を目指す方針を打ち出している。与党では公明党、野党は日本維新の会やみんなの党が導入に積極姿勢を示しているだけに、自公両党が「第三極」と連携することが可能にする有力なテーマになり得る。

 自民党は昨年9月に基本法案の骨子案をすでに取りまとめている。国の役割を極力限定するなど「道州」の基本理念や方向を示したものの、具体的な制度設計については国会議員や有識者からなる「国民会議」を首相の諮問機関として設け、3年以内に答申するよう求めている。実質は「道州制国民会議」の設置法案に等しい。同党の道州制推進本部は今通常国会に法案を議員立法形式で提出する構えで、当面は基本法案の推移が焦点になる。

 日本の47都道府県の枠組みは香川県が愛媛県から分離独立した1888年以来、旧東京府の都への移行や沖縄返還などを除き、120年以上にわたり基本的に不変だ。本気で改革実施に動けば日本の統治機構の極めて大きな変更になるだけに地方側はもちろん、自民党内にも実際は慎重論が根強い。仮に今国会に基本法案が提出されたとしても実質的な審議は夏の参院選以降になるとみられる。

 その一方で、政府が並行して取り組むのが大都市制度の見直しだ。橋下徹大阪市長らが主導する「大阪都構想」の実施を可能とする法律が昨年成立したことを踏まえ、政府の第30次地方制度調査会(西尾勝会長)は今年夏の答申に向けた作業を進めている。昨年12月、同調査会専門小委員会はたたき台となる中間報告をまとめた。

 中間報告で力点が置かれたのは政令指定都市に関するくだりだ。都道府県と政令市の権限の領域はあいまいになってきており、政令市長会は「特別自治市」制度を創設し、都道府県並みの権限を認めるよう求めている。だが、これとは裏腹に政令市を分割、再編する「大阪都構想」の法制化が議員立法で先行したため、政府は何らかのビジョンの提示を迫られていた。

 都道府県と政令市の「縄張り」問題について中間報告は都道府県と政令市が事務を調整できる協議会を制度化し、二重行政の回避を図るよう求めた。政令市の教職員給与の負担と都市計画のマスタープランの決定権を都道府県から政令市に移譲することも求めた。