大阪桐蔭西谷浩一監督独占インタビュー
中田翔、西岡剛、西武のおかわりくんも指導してきたけど「藤浪晋太郎先輩たちとここが違った」

週刊現代 プロフィール

 藤浪が優等生なら、ヤンチャの代表は中田翔でしょうね。藤浪と違うのは、やる気の着火方式。藤浪は放っておいても自分でやるんですが、中田の場合は、「中田、やるぞ」とこっちが本気になって、やっと「よし来い」となる。でも、そうなってからの集中力がすごい。文字通り何時まででもバットを振り続けるんですよ。夜2時までやっていたなんてこともありました。で、次の日授業中寝てまた怒られる。わかりやすくて、先の行動が全部読める子でしたね(笑)。

 中田も3年間、クラス担任を務めたんですが、それはもうテストの点が悪い。そのくせ教室では番長みたいに偉そうに座って、手を挙げているから指名すると、「わかりません。みんなが挙げていたので、一応挙げてみました」ですから。

 いつも一緒にいろんな先生に頭を下げに行きましたよね。そういうことが続くと、たまに、「ホームランを打ったら許してくれますか」なんて言ってくるもんだから、「そんなこと言ってないで反省しろ」と(笑)。

 意外にそうした場面に人間は出るもので、中村なんかはすごくシャイで目立ちたくないものだから、教室でもあの体を縮こませるようにして座っているんです。周りが手を挙げると、指名されないようにチョコンと掌を立てるだけですよ(笑)。

 ストイックさという面では、今年から藤浪と同じ阪神に加わる西岡もすごかった。西岡はとにかく入学当初から、

「プロになりたい」「野球で食っていくんだ」

 という気持ちが強かった。そのためなら何でも言うことをきくし、どんなに厳しくしても苦しい顔をみせることなく、食らいついてきた。ティーバッティングでも、中田だったら50本くらい打ったところで、

「ちょっと靴紐を結び直します」

 などと言って、紐なんてまったく解けてないのにしゃがみ込む。でも西岡は、私がボールを上げたら上げるだけ打ち続けました。自分から音を上げることは一度もなかったですね。

 個性というのか、やはり選手はひとりひとりキャラクターが違う。自分で自分を追い込める藤浪のような選手もいれば、こちらがスイッチを入れてやった方がいい、中田のような選手もいます。

 でも、その「違い」は決していい悪いではないんですよ。回り道をすることで伸びる子もいますからね。

 ウチの野球部が全寮制なのは、そうした人間性の違いが野球をする上で大きな意味を持つからです。ノートを毎日提出させるのも、なるべく全員の考えを知った上で、それぞれに適した指導をしたいから。