佐藤優 インテリジェンス・レポート
「中国海軍軍艦による海上自衛隊護衛艦等に対する火器管制レーダーの照射」

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」vol.007より
【はじめに 】
日中関係がかなり緊迫しています。中国海軍軍艦による火器管制レーダー照射について、かなり踏み込んだ分析を行いました。ここで、日本ではあまり紹介されていないロシアの見方について詳しく説明しました。ロシアは力の論理の信奉者です。2月7日にもロシア空軍機が日本の領空侵犯をしました。このような国との協力が可能なのかという質問が当然出ると思います。答えは「可能」です。インテリジェンス協力の基本は取り引きだからです。

2月7日は、「北方領土の日」なので、年中行事で日本近くを飛行したパイロットの腕が悪く、日本領空に入ったと筆者は見ています。尖閣のレーダー照射は「戦争か平和か」の問題につながります。位相の異なる問題を、同じ土俵で論じてはなりません。

F35問題についても、イスラエルと米国のユダヤロビーとの関係で尾を引きそうです。いずれにせよ、日本外交はかなり難しい局面に立たされています。

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【目次】
―第1部― インテリジェンス・レポート
 ■分析メモ(No.15)「中国海軍軍艦による海上自衛隊護衛艦等に対する火器管制レーダーの照射」
 ■分析メモ(No.16)「日米同盟に亀裂を走らせるF35問題」
―第2部― 読書ノート
 ■「日本の回転ドア政治を打開するには――重要なのは経済だ」
 ■『「データ」で読み解く 安倍政権でこうなる!日本経済』
―第3部― 質疑応答
―第4部― 文化放送「くにまるジャパン」発言録
―第5部― 佐藤優さんの今後の予定(3月初旬まで)

分析メモ(No.15):「中国海軍軍艦による海上自衛隊護衛艦等に対する火器管制レーダーの照射」

内閣防衛大臣 小野寺五典氏
〔PHOTO〕gettyimages

【事実関係】
2月5日夜、小野寺五典(おのでら・いつのり)防衛相は、1月30日、公海上で海上自衛隊護衛艦が中国海軍艦船により火器管制レーダーの照射を受けた事実を明らかにした。

【コメント】
1.
1月30日に海上自衛隊護衛艦が中国海軍艦船により火器管制レーダーの照射を受ける前の1月19日にも中国海軍艦船が海上自衛隊護衛艦搭載のヘリコプターに対して火器管制レーダーを照射した。中国は、この挑発に対する日本の反応を観察した上で、尖閣諸島奪取に向けた動きを進めようとしている。

2.
<安倍晋三首相は(2月)6日午前の参院本会議で、中国海軍艦艇による射撃管制用レーダーの照射について「不測の事態を招きかねない危険な行為であり、極めて遺憾だ。戦略的互恵関係の原点に立ち戻って再発を防止し、事態をエスカレートしないよう強く自制を求める」と述べた。

首相は、外交ルートを通じて中国側に抗議し、再発防止を要請したことを強調。「日中両国で対話に向けた兆しが見られるなかで、一方的な挑発行為が行われたことは非常に遺憾だ」と批判した>(2月6日MSN産経ニュース)

安倍首相は言葉を選んでいるが、「不測の事態を招きかねない危険な行為であり、極めて遺憾だ」という表現は、外交的にかなり強い懸念の表明だ。火器管制レーダーを照射するということは、平たく言って、「いつでも攻撃する用意がある」ということである。中国は、挑発のレベルをどこまであげれば日本が実力行使に出るかを慎重に見極めている。

今回の中国側の挑発行為に対して、政府と国民が一丸となって反撃しないと、中国はさらに挑発のレベルをあげ、そう遠くない将来に偶発的な日中武力衝突に発展しかねない。事態はかなり緊迫している。・・・(略)

5―(1)
本件に関し、2月8日、ロシア国営ラジオ「ロシアの声」が、中国による火器管制用レーダーの照射は事実で、尖閣諸島をめぐる日中の力関係を変化させようとする中国の戦略に基づくものであるというワシーリー・カーシン記者の論評を掲載している。この論評は、ロシアのインテリジェンス機関の評価を踏まえてなされたものと見られる。

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