サッカー
二宮寿朗「理念と夢が詰まったオレンジキューブ」

 クラブハウスにはサッカークラブの理念が詰まっているものだ。
 2005年にJ1昇格を果たして以降、毎年のように残留争いに巻き込まれながらもJ2に降格していない大宮アルディージャが、今年1月17日に新クラブハウスをさいたま市内にオープンした。これまで練習グラウンドを含めたチーム施設は隣町の埼玉県志木市にあり、事務所など本社機能は別のところにあった。これが念願かなって1つにまとまり、ホームタウンのさいたま市に施設を完成させたわけである。

地域、クラブ、チームの未来を考えた施設

 この新クラブハウスの愛称は公募のなかから選ばれた「オレンジキューブ」。建物もクラブカラーであるオレンジが強調されている。正面に掲げられた大きなエンブレムもインパクト十分だ。大宮のホームページによれば「地域の未来、クラブの未来、チームの未来、の3つのビジョン実現に向けての基盤となり、かつ実現を加速させるもの」をコンセプトにしているとのことだ。

 このオレンジキューブにはいくつか面白い工夫がある。まず選手のロッカールーム。セリエAのACミランをヒントにして、床にクラブの巨大エンブレムをあしらっている。吹き抜けの天井から日光が差し込むと、それが浮かび上がって見えるのだという。クラブへの愛着、チームへの帰属意識を高める意味でも効果があるのではないだろうか。
 練習グラウンドはホームスタジアムと同じ芝が使われている。日頃から試合と同じ環境でトレーニングができるのは、大きなメリットになるはずだ。

 また新クラブハウスはチーム、クラブのことばかりではなく、「地域、ファン、サポーター」の観点にも立っている。2階の多目的開放スペースはファン、サポーターのミーティングなどにも使用される予定だという。ここは災害時の一時的な避難場所としても検討されている。行政と協力して整備した最寄り駅からクラブハウスまでの歩道は「アルディロード」と命名され、ここにバナー装飾も考えているとか。近い将来、町のシンボルとなることだろう。

 セレッソ大阪も1月19日に新クラブハウスを大阪市内に完成させたばかりだ。こちらもファン、サポーターの観点に立った施設になっている。選手にとって喜ばしいのは50平方メートルの大きな浴室があり、そこに温冷両方の浴槽もあることだ。コンディショニング調整に一役買うばかりでなく、選手同士〝裸の付き合い〟もよりできるというものである。また、地域密着で言えば、大宮と同じように一般の人々が利用できる会議室もあるそうだ。

 ただ、C大阪の方は現段階で施設にはチームとクラブ組織の一部が入るにとどまるという。完全一体化となるにはもう少し時間がかかりそうだ。