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ITトレンド・セレクト
2013年02月14日(木) 小林 雅一

金持ちアップルの憂鬱

Apple CEO Tim Cook 〔PHOTO〕gettyimages

 「アップルが腕時計型モバイル端末の開発に着手したようだ」---そんな観測記事が今週、ニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルなど米国の主要メディアで報じられた。もし本当なら画期的な端末となることは間違いないが、まだ噂段階なので、「それが、どのような製品になるか」といったことを予想しても大した意味はないだろう。

 むしろ、それより興味深いことは「何故、今、こうした報道が為されたか?」ということだ。これについて一部のアップル・ウォッチャーは、「同社が敢えて、米メディアに社内情報をリークした」と見ている。それは「アップルには画期的な製品を開発する能力が残されている」ということを、メディアを使って宣伝したいからだという。恐らく、この見方は正しい。

とても怖い「モノ言う株主」がアップルに圧力

 背景には、アップルとその大株主との間の摩擦がある。先週、「Greenlight Capital」というヘッジファンドを率いるDavid Einhorn氏が、マンハッタン連邦地裁にアップルを提訴した。同氏はヘッジファンド業界の大物で、いわゆる「モノ言う株主」としても知られる。2011年には、マイクロソフトCEO(最高経営責任者)のスティーブ・バルマー氏に退任を迫ったこともある。要するにIT業界内では、とても恐れられている存在だ。個人的にも大変な金持ちで、ポーカーの試合で百万ドルをかけたこともあるという。

 今回、Einhorn氏がアップルを訴えた理由は、同社がためこんだ現金と株式配当を巡る争いだ。現在、アップルが保有している現金は1,370億ドル(12兆円余り)に達し、四半期ごとに、さらに数百億ドル(数兆円)が積みあがっていく。要するに、手元に金があり余ってしょうがない状況なのだ。が、(よく知られていることだが)これだけの現金を蓄えながら、これまでアップルは株主に配当を出さなかった。

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