パナソニック、シャープだけではありません「追い出し部屋」

2013年02月19日(火) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 発端は昨年12月31日に朝日新聞がこの問題を報じたこと。記事ではパナソニックグループに従業員が「追い出し部屋」と呼ぶ部署があることや、朝日生命保険に「自分の出向先を見つける」チームが存在することなどを指摘(両社ともに記事中で否定)。さらに、追い出し部屋の存在こそ指摘されなかったが、シャープでは40代男性が「この職場にいてもポジションはない」と告げられ退職を選択したケースなどが描かれた。

 その後も朝日が続報を打ち続けたことで社会問題として認知され、インターネット上に様々な企業の実態が書かれたり、気付いた社員が全国の相談所に駆け込む事態が発生している。

「2011年にはリコーで、100件以上の登録特許を持ち社内で受賞歴のある人など、功績のある技術者を物流子会社に出向させ、梱包作業をやらせていた事例が確認されています。またある大手電機メーカーでは『キャリアデザイン室』なるものがあり、そこで与えられる仕事は人材コンサルタントへの登録。つまり自分でそこで再就職活動をさせるという事例も寄せられています」(東京管理職ユニオン書記長の鈴木剛氏。リコーは「現在係争中の事案であり、事実を裁判で明らかにしていく所存です」と回答)

できるだけ安く辞めさせる

 とはいえ、日本では以前から「窓際に使えない社員を押し込む」「リストラ部屋に叩き込む」といった言葉が聞かれたように、呼び名こそ違えど「追い出し部屋」と似たような実態はいくらでもあった。いま改めてクローズアップされているのにはこんな理由もある。

「派遣社員を職場内に張られたテントの中で一人で単純作業をさせた、営業マンを倉庫に集めてなにも作業させなかったなど、以前から追い出し部屋の実態は指摘されていた。ただ、今回報じられている内容を見ると、部署を新設している。さらにそこに数十人規模の社員を入れているという。これはいままでなかった事例です」(労働問題を長く取材してきた通信社記者)

 労働問題に詳しい鵜飼良昭弁護士によれば、「古くは旧国鉄が人材活用センターと称するところに余剰人員を集め、仕事を与えずに退職に追い込んだことが大きな問題になったこともある。今回は追い出し部屋に関して、厚生労働省が個別企業の調査に乗り出したのが新しい」という。

 実際、厚生労働省は田村憲久大臣が今年1月8日に「企業が強制的に意にそぐわない仕事をさせているのなら、実態調査をしないとならない」と語り、調査を開始。1月29日には企業に聞き取り調査をした結果を『退職強要の有無等に関する調査について』と題された報告書にまとめている。

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