ハーバードビジネススクールのケースの主人公になった!【その2】
政治家時代のチャレンジを超一流教授に評価されて

香港の弁護士の弁舌に負けず日本の将来をアピール

前回述べたように、私は、ハーバードビジネススクール(HBS)の「皮のスーツを着た政治家と日本の資本主義の逆説」と題したケースの主人公になった。そのきっかけは、HBS主催で2011年4月に行われた北米最大のアジア関連国際会議「ハーバード・アジアビジネスコンファレンス」であった。

 私は、このコンファレンスで最大の聴衆を集めたパネルディスカッション「アジア資本市場の行方」に登壇した。登壇者は、香港の資本市場専門弁護士2人とHBSの教授、それに私の合計4人であった。

 私が発言を始める前、すでに会場の人々は、香港の辣腕弁護士2人が弁舌巧みに語る「中国企業と香港株式市場」の話に魅了されていた。そこで私は、「日本の存在を忘れさせてはならない。そのためには議論の流れを変えなければならない」と決心し、大胆に切り出した。

「このパネルの中で、私だけが法律を作る側にいました。いわゆる政治の世界です。 政治の世界に住む者の発言は、弁護士や学者の発言ほど正確ではないかもしれません。しかし、大きな未来へのビジョンを示すものです。今の私は政治家ではありませんが、そのビジョンを語ると思って聞いていただきたい」

 こう前置きしてから、私は続けた。

「先月不幸にも起こった東日本大震災が、日本の金融市場への取り組みを変えていくはずです。震災の復興には、莫大な資金が必要になります。一方、よく知られているように、日本の財政による資金調達は、綱渡りの状態にあります。

 したがって、財政と並行して、金融市場を活用した復興計画も図られるでしょう。それには、世界の資金と民間活力を活用しなければなりません」

 そう、このコンファレンスが開かれたのは、世界を震撼させた3.11の震災と原発事故の翌月のことだったのだ。「この悲惨な出来事を、世界の英知を結集する機会にしなくてはならない」という強い思いが私にはあった。会場の人々が身を乗り出して聴き入ってくれているのがわかり、それに励まされるように、さらにこう述べた。

「資金と民間活力の活用の第一歩は、税制から規制まで、日本の資本市場を改革することです。中でも、投資家の声を経営陣にしっかり届ける企業統治の改革を一気に進めなければならないし、また、進むに違いないと考えています」