武藤氏か、岩田氏か、それとも黒田氏か!?
アベノミクスの成否を占う日銀総裁人事から目が離せない!

〔PHOTO〕gettyimages

 白川方明日銀総裁が先週半ば、退任時期を1ヵ月弱繰り上げると表明したことを受けて、後継の総裁選びが大詰めを迎えている。

 一時は10人近い名前が取り沙汰されたが、どうやら候補者は、先週末までにほぼ2人の副総裁経験者に絞り込まれた模様。

 最有力は、財務省が省をあげて応援している武藤敏郎・大和総研理事長だ。そして、対抗馬として急浮上しているのが、国際通貨・金融マフィアとして知られ、早くから大胆な金融緩和を求めてきた岩田一政・日本経済研究センター理事長である。

 人事権を持つ安倍晋三首相はどんな最終判断を下すのか。アベノミクスの成否にも大きな影響を及ぼす人事だけに目が離せない。

人格、経験ともに抜群の武藤敏郎氏

 やっぱり民主党はアテにならないのか---。

 8日午後、「輿石ショック」の激震が、政府内部を駆け巡った。政府が国会の同意が必要な14機関41人のトップ人事案を提示しようとしたところ、民主党の輿石参議院会長の意向を受けて、細野豪志幹事長ら同党幹部がそろって席をけり、提示そのものを拒否する挙に出たからだ。

 人事案の中には、野田佳彦政権が内定した公正取引委員会の委員長に杉本和行元財務次官を充てる人事が含まれていたが、これが読売新聞にスクープされたことを理由に、民主党は「事前に同意人事に関する政府案が報道された場合は、原則として認めない」という国会ルールを持ち出し、政府との対決姿勢を鮮明にする戦略に転じてしまったのである。

 この騒ぎによって「ほぼ固まりかけていたはずの武藤日銀総裁人事が暗転してしまった」と財務省はいう。

 武藤氏は1943年生まれ。東大法学部を出て、旧大蔵省に入省し、省庁再編時に旧大蔵、財務両省の事務次官を歴任した。2003年から日銀副総裁をつとめた実績もある。人格、経験ともに抜群の新総裁候補で、政、官、財界はもちろん、国際金融筋にも顔が効く。

 自民党の福田康夫内閣時代に、当時の福井俊彦・日銀総裁の後継として、武藤氏を副総裁から昇格させる案を政府が提出したものの、財務省出身であることを理由に、野党時代の民主党が反対して実現しなかった経緯がある。

 ところが、今回、問題の民主党の幹部たちが早くから、「財務省出身者だからと言って、排除しない」「政府が再び(武藤氏を)推薦するなら、容認する」とのサインを送っていたため、政府は満を持して武藤氏を推す方向に傾いていた。

 しかし、輿石ショックで事態は暗転した。見直し議論が進んでいたはずの国会ルールを持ち出して、政府人事案の提示を受けないという対応に、官邸を中心に「民主党は信用できない。民主党の賛成を前提にした日銀総裁人事は再検討すべきだ」とのムードが一気に強まった。

 武藤待望論の強かった銀行・証券界でも「分が悪くなった」とがっくり肩を落とす声が相次いだ。

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