[プロ野球]
巨人・岸敬祐「1軍で5勝以上&日本一へ貢献を」

アイランドリーグ出身選手たちは今 2013年Vol.1

支配下登録、そして初の1軍キャンプへ

 2013年最初の朗報は自宅のポストに封書で届いた。
「封を開けると球団からで、キャンプの案内が書かれていたんですけど日程が1軍のものだったんです」

 半信半疑で翌日、ジャイアンツ球場に行くと、キャンプの1軍メンバーに自分の名前が入っていた。3年目にして、初の1軍スタート。左腕は気持ちの高ぶりを抑えきれないでいた。

 昨季は飛躍の1年だった。中継ぎから先発に転向すると、ローテーション入りを果たし、安定した投球をみせる。そして7月、ついに念願の支配下選手登録を勝ちとった。背番号は「017」から「90」へ。あのミスタージャイアンツ、長嶋茂雄終身名誉監督が引退直後に指揮を執っていた時代に背負っていた番号である。

 支配下になってからも好投を続け、終わってみれば2軍で23試合に登板して8勝5敗の成績を残した。防御率2.36はイースタンリーグトップ。オフには表彰も受けた。「去年は去年。今年は関係ありません」と本人は至って謙虚だが、着実にステップアップしている姿が認められたことは明らかだ。

 1年間、コンスタントに結果を残せた理由はどこにあるのか。岸は持ち味である制球力に磨きをかけたことに加え、心のコントロールができるようになったからだと考えている。“精神安定剤”は日記だった。昨年からつけ始め、自宅で1日の出来事を振り返りながら、その時の心境を綴っていった。

「今になって読み返すと(支配下登録の期限が近づいた)6、7月は字が雑になっていました。その時は感じませんでしたが、やはり焦りはあったのかなと思います」

 それでも心の揺らぎがピッチングに大きな影響を及ぼさなかったのは日記があったからだ。日々、気持ちを言葉にすることで、自らの中で整理をしながら翌日を迎えられた。
「書いていると、“あ、今はメンタルの部分が崩れているな”と分かるようになってきたんです」

 人間は心の生き物である。どんなに肉体を鍛え、テクニックを極めても、メンタルが不安定では成功は続かない。ボールだけでなく気持ちの“制球力”が増したことがレベルアップにつながった。

 そして、長いイニングを投げる中で自分の性格もよく理解できた。
「先発だからといって“6回3失点でいいや”とペース配分するとダメなタイプだと分かりました。最初のバッターから全力で向かっていって、ひとつずつアウトを重ねていかないと結果が出ない。それは先発でも中継ぎでも同じだと思いました」

 まずは目の前のバッターに最大限、集中する。欲張らず、丁寧にアウトカウントを増やしていく。その繰り返しが1試合を終えての白星につながり、1年を終えての好成績につながる。先発を繰り返しながら、岸は一層、1球1球を重視するようになった。