中国
慎重な一面と、好戦的な一面---二つの顔を覘かせる新指導者・習近平総書記の"本心"とは
〔PHOTO〕gettyimages

 2月10日は、春節(旧正月)だった。今年は大気汚染の影響で、北京市内を彩る恒例の爆竹も、自粛ムードが漂った。

 蛇年は「くねる年」。何事も、一路順風とはいかない年になりそうだ。

 そんな蛇年を象徴するような出来事が、1月30日に起こっていた。 尖閣諸島北方の海域で、中国海軍のフリゲート艦から海上自衛隊の艦艇に対して、火気管制レーダーを照射した問題だ。

 「なぜ日本はそれほど大仰に騒ぐのだ」という中国メディアの反応の中に、「正月くらいゆっくり休ませてくれ」とため息をつく中国人たちのホンネが覘く。中華民族にとって、たとえ戦争があろうが、春節だけは一族で一家団欒のひとときを過ごすというのが、昔からの慣わしだからだ。

 今年も春節前には、「10億人の民族大移動」が行われた。私の北京時代のオフィスは、北京駅に隣接したビルにあったので、「日常の風景」だったが、あの凄まじい大移動を見ていると、「人間は足があって動く動物だ」ということを、改めて考えさせられる。

「中華民族は平和を愛する民族である」

 というわけで、中国では春節の大型連休が続いているが、いま日本が読み解かねばならないのは、習近平という新指導者の"本心"である。

 1月28日午後、習近平総書記は、中央政治局員を一堂に集め、「第3回集団学習会」を開いた。昨年11月に中国共産党のトップに立って以降、毎月1回をメドに開いているものだ。

 この日の講話の中で、習近平は割と正直に、自己の心情を吐露している。その大意を、以下に訳出してみる。

〈 平和発展の道を進むことは、われわれの時代の潮流と根本的な利益に基づいた選択である。われわれは国内外の対局を睨み、ダブルウィンの発展を堅持し、平和的な国際環境を通して、世界平和の促進を維持せねばならない。わが国の総合的な国力を高め、平和的な発展がもたらす恩恵を広げ、平和的発展のインフラ整備を進めなければならない。

 中華民族は平和を愛する民族である。戦争を排除し、平和を実現することは、近代以降の中国人が最も強く希求していたことである。平和的な発展の道を歩むことは、中華民族の優秀な文化と伝統を継承するものであり、中国人が近代以降、苦難を経た後の必然の結論だ。中国人は戦争がもたらした苦難を克明に記憶しており、大変貴重な平和的生活を望んでいる。

 わが国は長い間、平和共存の五原則を堅持しており、独立自主のもとでの平和的な外交政策を確立してきた。つまり、世界に対して永久に覇権を求めず、拡張主義を取らず、世界平和の状態を常に維持するということだ。

 われわれは第18回共産党大会において、中華民族の偉大なる復興という「チャイニーズ・ドリーム」の実現を明確に目標に掲げた。この目標を達成するためには、平和的な国際環境が必須だ。平和がなければ、中国と世界は互いに順調に発展していくことができない。発展がなければ、平和も保てない。武力による対外侵攻が最終的にすべて失敗に終わっていることは、歴史が証明している。

 ただし、われわれは決して、われわれの正当な利益を放棄することはできないし、国家の核心的な利益を犠牲にすることはできない。いかなる外国も、中国が自己の核心的な利益を切り売りすると望むべきではない。われわれが自己の主権、安全、発展していく利益に損害を与えて呑み込もうと望むべきではない。

 中国は平和的な発展の道を進むが、他国も同じ道を進むべきであり、それによって初めて共に発展し、共に平和的な状態でいられるというものだ。われわれは平和的な発展の戦略的思想をもっと喧伝し、国際社会にわれわれが希求するものを正確に認識してもらう必要がある。

 中国の発展は、他国の利益を踏み台にした代価としてあるものではない。われわれは絶対に他人の利益を冒さない。確固たる平和的発展の実践者であり、共同の発展の促進者であり、グローバルな貿易体制の維持者であり、世界経済を治めていく参与者なのである。 〉

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