2013.02.21(Thu)

売り上げが伸びたのは、朝、暗いうちから工場に入って、豆腐を寄せ、豆乳の温度、豆腐のすくい方などを研究した結果でした。

相模屋食料 鳥越淳司

週刊現代
  • print
  • rss
  • 筆者プロフィール&コラム概要
〝直近6年間で売り上げ4倍〟と聞くとITや金融業界のようだが、実は豆腐屋さんの話だ。群馬県前橋市に本拠を置く相模屋食料。各都道府県に地場のメーカーが並び立つ状況の中、'08年度に業界トップとなり、'09年度には豆腐業界で初めて売上高100億超を達成。さらには『機動戦士ガンダム』に登場する敵キャラ『ザク』の形をした『ザクとうふ』など、話題性があるヒット商品も続々と生み出している。しかし、社長・鳥越淳司氏(39歳)には、サラリーマン時代、忘れられない挫折があるという。

 
売り上げが伸びたのは、朝、暗いうちから工場に入って、豆腐を寄せ、豆乳の温度、豆腐のすくい方などを研究した結果でした。とりごえ・じゅんじ/'73年、京都府生まれ。'96年、早稲田大学商学部卒業後、同年、雪印乳業へ入社。'02年に相模屋食料に入社し、'07年に代表取締役に就任。'11年に『焼いておいしい絹厚揚げ』が日本食糧新聞社制定の食品ヒット大賞優秀ヒット賞を受賞。'12年3月に『ザクとうふ』、10月に『鍋用!ズゴックとうふ』を発売

損得考えず

『ガンダム』とのコラボ商品を作ったのは、ズバリ、私が欲しかったからです。『ザク』という量産型のモビルスーツ(ロボット)をかたどったパックに、枝豆風味に仕上げた豆腐が充填してあります。工場では「1個」ではなく「1機」と数えますし、醤油をかけられることは「被弾」と呼んでいます。パッケージには『キヌとはちがうのだよ、キヌとは!!』などと決め台詞をもじったコピーがあり、モビルスーツの目付きは、ファンならわかる、一番カッコいい角度を選びました。

 主人公でなく、あえて量産型の『ザク』を選んだのは、一機しか存在しない『ガンダム』を売り場にたくさん並べられたら違和感があるからです。私が本当のファンだからよかったのでしょう。現代の消費者の方は、お金儲けを狙った商品からにじみ出る「あざといな」という感じがわかるじゃないですか。だから、好きなものを必死で作ったことが奏効したのだと思っています。

向こう側へ

 京都の生まれです。京都の人間はあまり地元を離れないのですが、高校生の時、広い世界を知りたくなり、東京の大学へ進学しました。新宿で大道芸をされている方を見ながら「この方は一歩を踏み出されている。私もいつか、何かを見る側でなく、する側になりたい」などと考えていました。

1
nextpage

経営戦略 一覧ページへ

媒体最新記事一覧