安全基準が変わったら電力料金が上がる?電力会社のエゴを許すな
「古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン」Vol.051 日本再生のためにより
〔PHOTO〕gettyimages
【はじめに】
今回は、原発のことを中心に書いてみます。最近、原発をなくして行きたいという国民世論が、どうも弱まっているように感じます。なぜでしょうか。 やはり、基本的な事実についてマスコミがちゃんと報道してくれないことに原因があるように思います。 私に対する風当たりもまた強まって来ました。 でも、原発ゼロを目指すべきだという私の考えは変わりません。

【「古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン」vol051 目次】
―第1部― 日本再生のために
 ■1.安全基準が変わったら電力料金が上がる?電力会社のエゴを許すな
 ■2.現実味を増す電力会社の破綻 破綻は当たり前と考えるべし
 ■3.工程表がないから脱原発ができないという時代は終わった
 ■4.電力会社を普通の会社と同じに扱おう
 ■5.原子力規制庁幹部の情報漏えい
 ■6.全日本柔道連盟の暴力や全国のクラブの体罰問題
―第2部― 読者との対話
 ■皆さんからいただいた質問やご意見へのコメント

原子力規制庁幹部の情報漏えい

懸念が的中した

 みんなが心配していたことが明らかになってしまった。

 原子力規制委員会と原子力規制庁を作った最大の狙いは、経産省や文科省のような原発推進官庁と規制当局を完全に切り離し、電力会社や原子力ムラとは独立して厳正に安全規制を執行できる体制を作ることだった。

 私は、本メルマガでも再三指摘してきたが、経産省や文科省からの大量出向と親元へ戻れる仕組みを排除しないと独立した規制機関はできない。親元に戻れないノーリターン・ルールには最初の5年は例外を認めるが、例外はほとんどないような運用をするというのが民主党政府の見解だった。

 今回の事件でわかったのは、規制庁のナンバースリーの大幹部が、原発事業者と癒着して情報漏えいしていたということだ。日本原電が、「接待などはしてないから問題ない」などと発言していたのを聞いて、やっぱり接待なんかが今もあるのかと思った人も多いだろう。そういうことを思いつくということ自体が驚きなのだが。

規制庁を作り直すしかない

 もう一つ明らかになったのは、やはり、親元に戻ることは簡単にできるのだということ。
少なくとも自民党は当然のようにそれを認めたということだ。・・・(略)

安全基準が変わったら電力料金が上がる? 電力会社のエゴを許すな

新安全基準で生じるコスト増をどうするか

柏崎刈羽原発 〔PHOTO〕gettyimages

 原子力規制委員会が新たな安全基準の骨子案を発表した。

 この骨子案の内容自体、世界最高水準とはほど遠いものなのだが、そのことについては、別途触れるとして、最近、電力会社とマスコミがおかしなことを言い始めていることに気付いている人は少ないのではないだろうか。

 彼らの主張はこうだ。

 「原子力規制委員会が、新たな安全基準を作ってそれを電力会社が守ろうとすると、そのためのコストがかかる。これは、政府側の一方的な政策変更による影響であって、電力会社に責任はないから、そのコストは政府が負担すべきである。」

 具体的には、規制委が、活断層の調査を行い、敦賀原発の廃炉がほぼ確定的になる中で、すでに、もし仮に廃炉になる場合にはそのコストを誰が負担するのかというような形で問題になっている。活断層の調査のやり直しだけでなく、その定義自体を見直すことによっても同じような問題が生じる。

 12万年前以降に動いた断層だけを活断層としていたものを40万年前以降に拡大する話は、自民党や電力会社の圧力で風前の灯だが、仮に40万年前に拡大すると東電の柏崎刈羽原発が動かせなくなるし、活断層だけでなく地滑りも同じに扱うという安全基準(アメリカなどはそうなっている)にすれば、大飯原発も動かせなくなる、という具合に、各地で同様の問題が出て来るから、今から電力会社が予防線を張る気持ちはわかる。

 マスコミもそうした電力会社の主張を鵜呑みにして、コスト負担が問題になり、電力料金が上がるとか、国の責任が問題になるというようないい加減な報道をしている。一部の評論家もそうした議論を展開する。

 その際、常に言われるのは、法律の遡及適用は憲法違反だというものだ。しかし、本当にそうなのだろうか。

日本の原発の安全基準は30年遅れ

 実は、こうしたことは欧米では日常茶飯事である。毎年のように原発の安全基準は厳格化されるのが世界の常識である。新たな事故・故障(もちろん小さなものばかりだが)や科学の進歩によって、新たな対策が必要だということになれば、当然のことのように基準が変更され、それに応じて電力会社は新たな投資などを行う。古い原発では、追加投資の金額を炉の寿命からみて回収できないことが理由で、そのまま廃炉になることもたびたび起きている。そして、そのために電力会社の経営が揺らぐこともよくあることだ。

 では、なぜ日本ではこれほどまでに大騒ぎになるのか。・・・・・・