岩崎元郎 第1回 「こうしてシマジさんにお会い出来たのも運と縁だと思います」

撮影:立木義浩

<店主前曰>

 登山評論家で『新日本百名山登山ガイド』などで有名な無名山塾主宰、岩崎元郎さんが、突然、新宿伊勢丹のサロン・ド・シマジに現れた。

 眼光鋭く立派な紳士だが、驚くほど小柄な方だった。本人の話によれば、身長は147センチとのこと。しかし、シングルモルトを美味しそうに飲み、話柄も豊富で笑顔が美しいひとだ。

 わたしは高校生のときに一度だけ、地元一関の須川岳(栗駒山)に登ったことがあるのだが、前夜の麓の酒盛りがこたえて、頂上までは辿り着けず、温泉がほとばしる9合目で引き返してしまった恥ずかしい経験があるだけだ。だから当然、登山をテーマにしたエッセイなど一度も書いていない。ところが小兵の岩崎先生は8階のサロン・ド・シマジを目指して階段を一気に登ってきたのである。

 有名な山登りの先生がどうして新宿、しかも伊勢丹にやってきたのか。ワケを尋ねたところ、朝日新聞beに載ったサロン・ド・シマジの紹介記事を読んで、居ても立ってもいられなくなって、やってきたのだという。登山家は伊勢丹メンズ館8階を"魔の山"と見立てたのだろうか。

 「ここがいま評判のパワースポットですか。朝日新聞を読んでシマジさんに会いたくて、ここまで一気に登ってきました」と日焼けした笑顔で言ったのだった。それから2ヵ月後、この対談と相成ったのである。