雑誌
日本の大金持ちシリーズ 第17弾
大研究ニッポンの御曹司連続インタビュー
生まれつきおカネがあると人はどう育つのか

 銀の匙をくわえて生まれてきた。他人からは羨望の眼差しで見られ、家族からは見えざる重圧を受ける。決してラクな人生ではない。御曹司たちが抱える苦悩と、それを乗り越えた生き様を明かす。

第1部 元祖あんぱんで有名
銀座・木村屋總本店の長男が選んだ「独立の道」

子供の頃から銀座でお寿司

「僕自身、面と向かって御曹司と呼ばれたこともあります。僕は大学までずっと慶應で、名前は挙げられませんが、同級生には有名な大企業経営者の息子もいっぱいいました。しかし、親がすごいからといって、その子供が偉いわけではありませんし、校内で特別視されるようなこともなかった。だって、慶應ってそういう学校ですからね(笑)」

 こう話すのは創業144年、あんぱんを考案し、現在、売上高120億円を誇る銀座・木村屋總本店の御曹司、木村周一郎氏(43歳)。父親は木村屋の6代目社長・木村周正氏だ。

 しかし、周一郎氏は木村屋を継がず、自ら独立して起業する道を選んだ。現在、フランスパンの店「メゾンカイザー」を国内外に展開する『ブーランジェリーエリックカイザージャポン』の代表取締役を務める。

 その周一郎氏は、実家が銀座で老舗パン屋を営む環境から美食に囲まれて育った。また、幼稚舎から慶応に学び、大学時代は競技スキーに明け暮れたという。

「思えば、いいものを食べて育ちました。早くから本物に触れさせようという親の考えだったと思いますが、お寿司なら『奈可田』や『京すし』、イタリアンなら『キャンティ』、和食は『浜作』で、うなぎは『竹葉亭』、おでんなら『やす幸』とか。小さいときから、家族で外食というと、銀座や日本橋の贅沢なものばかり食べていましたね。

 夏のスキー遠征合宿ではヨーロッパのアルプスの氷河まで出かけました。当然お金もかかりますよね。だいたい1年のうち100日以上スキーのために費やすのですから、それだけで100万円はかかります。そのうえスキーの道具も競技種目ごとに毎年買い替えていましたから」

 大学4年生のときには、友人と3週間かけてヨーロッパ9ヵ国を巡る旅行にも出かけている。そのときは「総額でいったいいくら使ったんでしょうか。端から見れば優雅な話ですよね」と周一郎氏は笑う。

 しかし、それ以外の生活は意外にも質素だった。たとえば自家用車は、国産車にしか乗っていない。