「原子力問題調査特別委員会」の設置決定でようやく動き出した「国会事故調の提言」
昨年7月、「7つの提言」をまとめた国会事故調の黒川清委員長 〔PHOTO〕gettyimages

 今通常国会の召集日である1月28日、衆議院本会議で「原子力問題調査特別委員会」の設置が全会一致で決まった。この委員会は、国会に設置された「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)」が昨年7月にまとめた「7つの提言」の第1番目に掲げられていたもので、提言から半年以上たってようやく実現した。

 国会事故調は、国会が民間専門家に託して、独立した立場から政府の失敗を調査したもので、こうした機関が設置されたのは憲政史上初めての事だった。私は事故直後から国会事故調の設置を提唱、議員立法化に動くなど、深くかかわってきた。

 その事故調の提言だけに、絶対にたな晒しにはできないと考え、粘り強く特別委の設置を求めて各党と協議してきた。それがようやく実現したのだから、感無量である。さらに、この特別委員会の自民党の筆頭理事を務めることにもなり、身の引き締まる思いだ。

民主的統制を欠いた原子力規制委員会

 国会事故調の報告書の「提言1」にはこう書かれていた。

〈 国民の健康と安全を守るために、規制当局を監視する目的で、国会に原子力に係る問題に関する常設の委員会等を設置する 〉

 昨年夏に提言がまとまって以来、私は議員運営委員会の理事だった公明党の遠藤乙彦衆議院議員(当時)とともに、衆議院としていかに具体的、かつ速やかに対応すべきか協議を重ねた。提言1にある常設委員会を1日も早く実現すべきだと考えたが、この思いは、国会事故調を共に立ち上げた民主党の松井孝治参議院議員とも、ツイッターなどを通じて共有していた。

 当時の与党であった民主党は当初、複数の大臣を拘束される恐れがあるとして、特別委員会の新設ではなく、既存の環境委員会に小委員会を設けることで十分だ、との消極姿勢だった。交渉の結果、この特別委員会は所管大臣を持たず、常時出席するのは、大臣級である「原子力規制委員長」のみとし、他の省庁に関しては原則的に大臣を呼ばず、副大臣対応とする申し合わせを行なうところまで合意した。さらに、民主党側が「口頭約束ではなし崩し的に約束が反故にされる恐れがある」と強く懸念したため、議院運営委員会で交わすべき書面の覚書までも用意した。

 ところが、民主党の幹部の最終了承を得られないまま通常国会が終わってしまったのである。極めて残念な思いをするとともに、事故調の黒川清委員長など関係者に対し、申し訳ない思いで一杯だった。さらに、臨時国会でもまとまらず、そのまま解散総選挙となり、結局、今通常国会にまで持ち越されてしまったわけだ。

 ようやく動き出すこととなったこの特別委員会は、原子力規制の民主的統制にとって、非常に大きな意味を持っている。この特別委員会の目的は政府の「原子力規制委員会」を国会として監視することにある。

 規制委員会は自民・公明両党が提出した議員立法が修正可決されて、昨年9月に設置された。国家行政組織法第3条に則った独立行政委員会、いわゆる「3条委員会」で、内閣の指揮監督下には置かれず、独立した行政執行権を有している。委員には身分保証が与えられている。

 もちろん、その行政執行に対して民主的統制が必要であることは言うまでもない。委員の人事はまず政府が提案するが、国会がそれに対し同意を与えるか否かを決するとともに、委員会の活動を監視することになる。しかし、特定の3条委員会を専門的に監視する委員会はこれまで国会に存在してこなかった。

 残念ながら、民主党政権は、原子力規制委員会の5人の委員長・委員の人事を決めたが、緊急の場合の規定を使って逃げ、国会の同意を求めなかった。また、国会による監視の仕組み作りにも消極的で、原子力規制委員会は、民主的な正統性がないまま、今日まで来てしまっている。

 ようやく今回、原子力規制委員会を監視するための常設の特別委員会が国会に立ち上がったわけだ。

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