外銀による初の邦銀買収成立か!? チャイナトラストの買収提案に揺れる東京スター銀行の本当の問題点とは
チャイナトラストのHPより

 外銀による買収には無縁だった日本の銀行業界にもついに黒船襲来か---。

 台湾のチャイナトラスト(中国信託商業銀行)から正式な買収提案を受けた東京スター銀行の行方が金融業界で関心を集めている。「金融行政の手厚い保護がついに瓦解し、鎖国状態が破られるのか」(金融機関中心にヘッドハンティングを営むコンサルティング会社代表)といった声が絶えないのだ。

 しかし、過去に経営破綻をきっかけに外資系ファンドなどのマネーゲームの対象になり、再上場、上場廃止を繰り返してきた第2地銀の東京スター銀行のこと。今さら、銀行だからと言って外資の買収を妨げるような理屈は見当たらないのが本当のところだろう。

 むしろ、同行の本当の問題点は、実力以上の収益力の保持をはからずも決算で演出するようなトップ経営陣の体質にあるのではないだろうか。

買収提案を受け入れる可能性は高い

 同行の発行済み株式のほぼすべてを500億円で獲得したいと、チャイナトラストが正式に提案したのは、お屠蘇気分の残る先月10日のこと。

 提案した相手は、東京スター銀行そのものではなく、同行の真の株主だ。有価証券報告書に記載されている筆頭株主は「シャイニング・スター合同会社」(発行済み株式の49.08%を保有)と「アライド・ホールディングス合同会社」(同)の2社だが、いずれも資本金がわずか10万円の特別目的会社(SPC)で、名目的な株主に過ぎない。チャイナトラストはこうした表面的な株主ではなく、その背後に控える新生銀行や仏金融大手クレディ・アグリコル、あるいは米投資ファンドのローンスターといった実質的な株主と交渉を進めているという。

 買収提案がこの時期になったのは、実質的な株主である新生銀行とクレディ・アグリコルが、2008年、アドバンテッジパートナーズがローンスターから東京スター銀行を買収する際に実施した融資が、今春償還期限を迎えるという事情があったから。

 両社は、アドバンテッジパートナーズ側が2年前に利払いを延滞したことから担保だった株式を取得したものの、これ以上の長期戦を避けて、この機に損失を確定してしまいたいという事情があったという。そこに目を付けて、チャイナトラストは買収提案に踏み切ったらしい。

 今回の提案を飲めば、現在の評価額の50%程度を回収できる(損失を半分にできる)見込みのため、両社が買収提案を大筋で受け入れる可能性は高いとみられている。

 いったん保有株を売却したはずのローンスターが依然として東京スター株を保有していることに疑問を持つ読者もいるだろうが、この株はアドバンテッジパートナーズへの売却の際に、資金繰りの付かない同社にローンスターが買収資金を融資したため、アドバンテッジパートナーズのデフォルトに際してローンスターが再取得したもの。

 その意味では、2011年にローンスターが得た東京スター株売却益に無理があったとは言えるかもしれない。意図した売却価格が高過ぎて、書い手が自力で賄えない資金を、売り手が貸した格好だからだ。金融業界では、「欲張って高過ぎる売り値を付けたツケだ」と揶揄されているという。

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