「A面」か、それとも「B面」か。安倍政権長期化のカギを握る日銀人事のポリティクスを考える

 3、4月に任期が切れる日銀総裁・副総裁人事が、日銀法改正とともにアベノミクスの成否のカギを握っている。ただ、マスコミ情報だけをみていると、全体の鳥瞰図が見えにくい。そこで今回は日銀人事を見通す座標軸を提供することとしたい。

 日銀人事はポリティクスの興味深い教材になるだろう。こういうと、日銀人事を政争の具にするのはいけないというステレオタイプの批判がでてくるが、その批判には政争になると適切でない人が選ばれるという前提がある。政策議論をうまく組み合わせて民主主義プロセスをうまく機能させれば、政争の結果、国民的に望ましい人が選ばれる。いい政争の具にしてもらいたい。

財務省は日銀に騙されたのか

 日銀総裁、副総裁は、国会同意人事だ。3月19日に山口廣秀(ひろひで)、西村清彦両副総裁、4月8日に白川方明総裁の任期が切れるので、遅くとも3月上旬までに新総裁・副総裁の人事案を合わせて国会に提示するだろう。事務的には人事案リストは財務省と内閣府で作るが、実際には財務省の意向が強い。

 この意味で、麻生財務相の意向がポイントになる。先週の本コラムで明かしたように、麻生財務相は大臣就任前は、「語学力、金融の理解、組織マネージメント」というまっとうな条件をあげていたが、財務省になってからは「語学力、健康、組織運営能力」と、「金融の理解」を「健康」に変更した。

 麻生財務相は1月22日の共同声明などにあたっては、かなり白川日銀総裁と会談したといわれている。ところが先週のコラムに書いたように、共同声明を裏付ける金融政策決定会合は、インフレ目標2%達成のために必要な金融緩和量をはるかに下回るようなぼゼロ回答だ。だから、財務省は日銀に騙されたといっていいだろう。

 もしこれが意図的でないならば、やはり財務省には「金融の理解」が欠けていたといわざるをえない。そうした財務省が作成する人事案リストは多少色目めがねで見てしまう。

今、マスコミでしばしば報道されていたり、マスコミが耳にしたりしているのは、財務省からでたとおぼしきものが多い。なお、財務省と日銀は両者で日銀を統治すればお互いの利益になるのでしばしば協力関係になるので、マスコミにでているものは日銀の意向のものも含まれるだろう。

 例えば、武藤敏郎・大和総研理事長(69)、黒田東彦(はるひこ)アジア開発銀行総裁(68)、岩田一政・日本経済研究センター理事長(66)、伊藤隆敏・東大大学院教授(62)らだ。これを、「A面」、つまり財務日銀筋とする。これらの方々は立派な経歴があり、日銀総裁の候補として申し分ないが、全部とはいわないが財務省・日銀が推しているのだろう。

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