雑誌
本当に儲かるのはこれからだ
どこよりも詳しい「安倍バブル」の実情

〔PHOTO〕gettyimages

 発射台から打ち上げられるロケットのように、猛烈なスピードで空高く舞い上がった日本株。だがその勢いに、少し翳りも見え始めている。日本経済は、またも途中休止してしまうのか。そんなことはない。「本番」は今から始まる。

25%以上も上昇していた

 金融緩和で円高を是正し、2%のインフレ目標を定めてデフレ脱却を図る—。

「アベノミクス」による景気回復への期待が高まり、昨年末以来、日本株は右肩上がりで上昇を続けてきた。

 ところが1月23日、瞬間的に異変が起きる。この日、日経平均株価は222円超も下落し、沸きに沸いてきた市場参加者たちに冷や水を浴びせたのだ。

 引き金となったのは、日銀による「抵抗」だった。この前日、日銀は政策決定会合を行い、アベノミクス路線に則ったインフレ目標の設定と、金融緩和の拡大を発表。しかし、市場が期待していた「無制限緩和」などの大胆な路線に踏み切ることはなく、再び為替が円高方向に振れ、それが市場の嫌気を誘ったのだった。

 "宴"は早くも終わりを告げてしまうのか……。

「そうではない」と語るのは、金融・経済アナリストの津田栄氏である。

「これまで株式市場は、アベノミクスによる円高の是正やデフレ脱却、景気回復への期待から、昨年11月中旬の日経平均8700円を底に、ほとんど休まず上昇を続けてきました。1月中旬に到達した1万950円まで、なんと25%強の上昇幅です。大きく値上がりした後は、その熱をいったん冷やすための調整が必要になります。その際、急激に株価が下がれば調整の期間は短くなるし、少しずつ下がるようであれば、調整の期間は長くなるものです」

 市場はこの1~2ヵ月の間、いわばエンジン全開で走り続けてきた。この状態が永遠に続くわけがなく、どこかでスロットルを緩め、スピードコントロールをしなければならない。

 つまり、ちょっとした"中休み"があったとしても、それが直ちに、日本市場の再失速に繋がるわけではない。むしろ、株価が上がって本当に儲かるのは、「これから」なのだ。

 信州大学経済学部の真壁昭夫教授も次のように語る。

「今株価が下がり気味なのは、為替が調整をしているから。調整の大きな要因は、大手のヘッジファンドが1ドル=86円65銭から90円65銭の間で『ダブル・ノータッチ・オプション』を形成しているからです」

 ダブル・ノータッチ・オプションとは金融取引の一種で、一定期間、為替がその範囲内に収まっていれば、最初に賭けた金額の数倍にもなる儲けを出せるというもの。逆にもし、期間内にその設定値の上下どちらかに到達するようなことがあれば、大損害を被る。

 そのためヘッジファンドは期間中、「範囲内」に為替が収まるよう、必死で売り買いを繰り返す。

「このため、為替が1ドル=90円65銭に近づくと円が買われて円高になり、86円65銭に近づくと円が売られて円安になるという状況になっています。このオプションの期限は2月上旬なので、それまでドル円の相場はこの範囲内での動きとなり、円高に振れる場合は、株価も下落していく。

 ただ、逆に期限が来れば、90円65銭を超える円安になる可能性が出てくる。中長期的には円安の流れは変わらないので、大手のヘッジファンドも、次はもう少し円安水準でオプションを設定する可能性があるからです」(真壁氏)

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら