[サッカー]
大野俊三「今年こそ強い鹿島を見たい」

 2013年のサッカーシーンは柏レイソルの37年ぶりの天皇杯優勝で幕を開けました。柏の勝因はコンセプトを貫いて試合を進めたことでしょう。守備面では全員が連動して相手にプレッシャーをかけ、オフェンスではサイドチェンジを織り交ぜながらリズムをつくれていました。

一貫性のなかったG大阪

 ネルシーニョ監督の采配も当たりました。30分にトップ下の水野晃樹を下げ、田中順也を投入してワントップに据えました。決して水野の調子が悪かったわけではないと思います。交代の狙いは、ボールを収められる田中を入れることで、前線に起点をつくりたかったのでしょう。

 それまでの時間帯、ワントップには澤昌克が入っていました。ただ、彼の本職はMFです。パスを入れてもDFにつぶされたり、空中で競り負けたりしていました。田中がワントップになることで前線にポイントができ、2列目の選手やサイドバックの選手が攻撃に参加できるようになりましたね。こういった決断はタイミングが難しく、チームの歯車を狂わせるリスクもあります。豊富な経験を誇るネルシーニョ監督のひらめきがいい方向に向かったと言えるでしょう。

 加えて、選手たちの戦術理解度の高さも称えたいと思います。急なポジション変更にもリズムが狂わなかったのは選手たちがしっかりと指揮官の意図を汲んでプレーしたからです。ネルシーニョ体制になって5季目。柏がチームとして熟成していることを改めて感じましたね。

 一方、敗れたG大阪は試合を通してボールを支配しながらゴールは奪えませんでした。その大きな原因はゴール前でのスピードの変化がなかったことです。目の前で淡々とパスをつながれても守る側はそれほど怖くありません。どっしりと構えて対応できますからね。ゆっくりとしたリズムから、急に速い縦パスを出す。こういった緩急をつけなくては守りの組織にズレは生じません。

 局面を打開しようと突破力のあるMF家長昭博を途中出場させましたが、これも柏の整備された守りに阻まれました。いくら能力の高い選手でも3人に囲まれれば、こじ開けるのは至難の業です。柏が組織で戦う意識を統一していたのに対し、G大阪は組織で戦うのか個の力に頼るのかがまとまっていませんでした。これも勝敗を分けたポイントではないでしょうか。

 今季、G大阪は初めてJ2の舞台で戦うことになります。Jリーグの開幕当時から参加しているクラブ、ましてやアジア王者にもなった西の雄です。1年でチームを立て直して、再びJ1に戻ってきてくれるのを待ちたいですね。